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スタートレック:ディスカバリー シーズン3総括 スタートレックは『人類未踏の宇宙』に踏み出せたか

前人未踏の32世紀で、ディスカバリーはどんな世界を切り拓いたのか。

スタートレックは、新たな地平へ漕ぎだしたのだろうか。

 

 

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面白すぎた、シーズンの開幕戦

 

ついに完結した、スタートレックディスカバリー シーズン3。

以前に3話までの時点での感想を書きましたが、その内容は個人的な期待を大きく上回る面白さでした。

 

3話まで時点の記事はこちら。

 

 

 

ようこそ、『人類未踏の宇宙』へ


シーズン3の魅力としては、なんといっても『32世紀』という舞台設定の巧みさを挙げねばならないでしょう。

この950年分のタイムトリップは、ドラマに劇的な変化をもたらしています。
とくにシリーズのファンにとって、この意義は非常に大きいものです。


なぜなら、スタートレックの舞台は『人類未踏の宇宙』であることに意味があり、しかし『人類未踏の宇宙』は失われてしまっていたからです。

 

ここで一旦、『ディスカバリー』以前の状況を振り返ってみましょうか。

 

スタートレックでは、天の川銀河を「アルファ」「ベータ」「ガンマ」「デルタ」の4つの宇宙域に大別しますが、地球の位置するアルファ宇宙域と隣のベータ宇宙域は、すでにこれまでのシリーズでおなじみの舞台となってしまっています。

TNGまでは未知の宇宙域とされていたガンマ宇宙域とデルタ宇宙域についても、DS9とVOYを通じて、けっこう掘り下げが行われてしまいました。
それによって、銀河系全体に、どこにどんな種族や文明があるのか、(非常にざっくりとですが)分かってきてしまいました。

かくして、TOSの頃には『人類に残された最後の開拓地』であったはずの宇宙は、VOYの頃にはすでに「無限の開拓地」ではなくなってしまったのです。
そこは有限の土地であり、いくら旅をしてもおおむね既知の国家や民族がいるだけです。

 

この事態は、冒険ものであるスタートレックにとって深刻であり、さながら西部開拓時代における『フロンティア消滅』のようでした。

 

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この問題をクリアするために、ENTではTOSよりも過去にあたる22世紀を描く箏で、『人類がはじめて宇宙に乗り出した頃の話だから、宇宙はまだ人類未到』という舞台設定を作る必要がありました。
また同様にAOSでは、『歴史改変されたパラレルワールド』という、知ってるようで知らない世界を舞台にすることで、未踏の宇宙を作りました。*1

 

しかし、ENTはしょせんミッシングリンクであり、AOSはオルタナティブでしかありません。それは行き詰まりが見えている勝負でした。

 

もちろん、当時の作り手もその問題を放置していた訳ではなく、テコ入れも行われました。たとえばENTにおける『時間冷戦』はその閉塞感を打破して、意外性を生み出すためのギミックだったのでしょう。しかし結果から言うと、状況をかき回しこそすれ、行き詰まり感の解消には至らなかったように思います。


では『ディスカバリー』はどうでしょう。

シーズン2までの舞台はTOSとほぼ同年代だったため、ファンからはENTに近いミッシングリンク的なアプローチだと思われていました。しかし、それはディスカバリーという作品にとって序章にしかすぎず、すべてはシーズン3で『人類未踏の宇宙』を最高の状態で楽しめるようにするための前哨戦だったのです。

 

 


未来に転生したらワープできない世界だったけど、自分だけはどこにでも瞬間移動できる件

 

シーズン3の舞台設定はじつに工夫されていました。

 

まず32世紀というのは、時間冷戦のエージェントが属していた未来よりもさらに先の、はるか未来です。もはや惑星連邦が存続しているのかどうかすら分からないほどの時が流れ、ディスカバリーはそこに単身投げ出されることになりました。

 

しかもうまいことに、ディスカバリーのクルー達は私たちのよく知る23世紀の常識を持つ人々ですから、視聴者は彼らの目を通して、32世紀の世界を新鮮な目で見ることができるのです。

これぞ、久しぶりの純粋な『人類未踏』のシチュエーション。


さらに、単なるタイムトリップものであれば、ディスカバリーは時代に取り残された旧式の宇宙船になってしまい、あまり活躍できない事態になりかねないところを、ロストテクノロジーのチート装備『活性胞子ドライブ』と『球体のデータ』で打開しているのです!

ダメ押しに、32世紀の舞台設定を『大火』によって長距離ワープに制約がある世界としたわけですから、23世紀の頃よりも胞子ドライブの重要性はいっそう増し、ディスカバリーはジョーカー的存在となりました。

 

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連邦の分断のきっかけとなった『大火』の謎は重要な要素

 

この舞台設定自体が新しいし、スタートレックにとって新たな一歩であると言えます。ここまでのお膳立てに気づいた時、私は震えました。なんて面白そうな舞台設定なんでしょう。今までのシリーズの設定を生かすこともできるし、見たこともない世界を提示してもいい。自由自在なアプローチができるのですから。

 

 

 

スタートレックの描く『32世紀』の実像とは

 

かくしてスタートレックは新たな『未踏の宇宙』に到達したわけですが、実際にはどんな世界を見せてくれたのでしょうか。

 

32世紀の宇宙は、『大火』によって長距離ワープに大きな制限がかかっている世界でした。

惑星連邦は衰退し、その精神こそ継承されてはいるものの、治安維持すらも行き届かない状態。地球、ヴァルカン、アンドリアといった、かつての創立メンバーも連邦から脱退してしまっています。

 

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32世紀の惑星連邦は衰退しながらも存続していました

 

一方で、オリオンを中心とした星間マフィア『エメラルド・チェーン』が幅を効かせており、暴力によって抑圧された人々は、かつて存在した理想的国家『惑星連邦』の面影を追い求め、救いを必要としていました。

胞子ドライブで距離を無視できるディスカバリーが活躍するには、まさに絶好のシチュエーションです。

 

きっと、ディスカバリーが人々に希望の灯を届け、かつての加盟国たちの絆をとりもち、そして惑星連邦の再建の足掛かりを作っていくのだろう…。そんな風に思っていました。

 

結果、シーズン3はたしかにそういう内容ではあったのですが、その過程の物語のつむぎ方には少々難があったように思います。

 

ものすごく期待感のもてる導入だったおかげで、後半の展開にあまり没入できなかったのがちょっと口惜しい、というのが正直な感想です。

次項ではストーリー、演出の難点について語ります。

 

 

 

『やさしい世界』とは『主人公に甘い世界』ではない

 

トレッキー達がつねに気にするのは、ジーン・ロッデンベリーがスタートレックに込めた理念が継承されているかどうか、という点です。

異種族との相互理解と共存共栄。ある種のユートピア的な世界は、今風に言うと『やさしい世界』と言えるかもしれません。

でもその「やさしい世界」は、特定のキャラクターが何をしても赦され、ちやほやされると言う意味ではありません。

 

シーズン3への没入を阻害する原因は、『バーナムの情緒不安定化と、それに釣り合わない優遇っぷり』という点に集約されます。

 

我々の住む現実でもそうですが、人間社会はどこまで行っても助け合いですから、自立した大人にとって一番大事なのは『信用』です。

 

たとえば、ティリーが少尉ながらに副長に抜擢されるのは、それまでの彼女の活躍や、人間関係の調整役としての描写を見ていますから、さほど問題になりません。彼女がクルーからも視聴者からも『信用』を勝ち得ているからです。(ただし、万年少尉のハリー・キムが聞いたら卒倒しそうな大抜擢ではあります)

 

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ティリーの良さが光った食事会のエピソード

 

それにひきかえ今シーズンのバーナムは、前シーズンまでの成長を無視したかのような独善的なスタンドプレーが目立ち、信用を落としてしまいました。

ですから、サルーの期待を裏切り、ふたたび副長から降格されたのはしかるべき流れです。

 

しかし最終話、彼女が結果的に船を救ったからといって、船長に任命されるのはあんまりにも不自然ではないでしょうか。クルー達もこの人事に納得できているんでしょうか?

劇中の彼女の行動と、周囲からの評価のギャップが凄すぎて、とまどいを隠せません。

 

代案としては、たとえばティリーがサルーに代わって船長代理を務めることになってしまうが彼女は経験不足のため、バーナムが補佐として副長につくというのならまだ理解できるし、『歴代初の副長の主人公』として出発したバーナムとしては、いい着地点にも思えたのですが…。*2

どうにも、ラストシーンの『キャプテンズチェアに座るバーナム』の画を撮りたいがための、ご都合主義に感じてしまいます。

 

途中までは彼女にも自省の色がありました。ニヴァーでのエピソードでは、バーナムは自身の過去のあやまち、連星系の戦いについての自己批判的な言葉もあるなど人間的成長を見せていただけに、どうしてこんな着地点になったかという感じがします。

 

結果、バーナムは『信用』に足るキャラクターになっていないんです。

子供じみた仮定ですが、もし私が宇宙艦隊の士官だったとして、過去シリーズのメインキャラクター達の誰かが同僚であっても、例外なく背中を預けて戦うことができると思います(クワークやガラックでさえ!)。ドラマを通じて、キャラクター達が私に対して『信用』を築いているからです。

 

でも今のところ悲しいかな、私にとってバーナムはそういう人物にはなっていません。個人能力は優秀でも、不安定で利己的で、責任感の乏しい人間だと見えてしまうからです。

 

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私の目にはバーナムは『皆に甘やかされている』ように見える

 

全体的に、ディスカバリーという作品はバーナムの内面にフォーカスしており、ソネクア・マーティン=グリーン氏の表情と熱演っぷりをひたすらクロースアップしています。

そして、それが物語の軸となって(たとえば成長や改心などの)テーマにつながるというよりは、ただただバーナムの機嫌に合わせて世界が回っているようになってしまっている感があります。*3

 

  

ブッカーやオサイラーといった新キャラクターにしても、いくらでも魅力的にできる可能性があったのに、32世紀に来て自由を謳歌するバーナムにとっての、お誂え向きの恋人役や敵役というレベルに留まってしまった印象です。

 

惑星連邦についても似たようなことが言えます。

大火のあとも存続していたのは良しとしても、『1隻の船の活躍で救えるのにちょうどいいくらいに弱っているが、清廉潔白さは失っていない惑星連邦』という舞台装置。

これもまたやさしい世界であると同時に、SF的なワンダーがありません。トリルやニヴァーへの訪問も後半に生きる伏線というわけでもなかったし、ヴァンス提督も公明正大に見えて、やはり最後にはバーナムに絆される。

この程度のヴィジョンだったならば、いっそ惑星連邦が大火で完全に崩壊してしまっていて、ディスカバリーの力で同志を集め、再建をめざす話だったほうが良かったのでは?とさえ思ってしまいます。

 

唯一、ドラマ面で新風を吹き込んだのはアディラで、彼女とスタメッツとの交流、そしてカルバーとグレイを含めた家族関係の形成過程は良かったと思います。

 

ともかく、シーズン3の後半は欠点がとくに目立って、せっかくの導入の面白さをスポイルしてしまっていると思うのです。

そう、導入と前半はよかった。

とくに孤独な状況にあっても代々連絡官をつとめあげてきた、サヒル中尉との出会いなどはグッとくるものがありました。それだけに本当にもったいないです。

 



ファン的に見逃せないポイント

 

酷評っぽくなってしまいましたが、それはひとえに導入がすばらしかったために、期待を膨らませすぎた反動なのかもしれません。本当に、すばらしく面白くなる余地はいくらでもあったと思うんですよ。

 

さて、苦言が多くなりましたがここからはお口直し。

シーズン3にはファンにはうれしい、興味深かったポイントもたくさんありました。振り返りましょう!

 

 

受け継がれし『惑星連邦』の灯火

 

やはり32世紀という舞台設定がもっともアツかったのは、惑星連邦が姿を消しても、その理念や思想が残り、銀河に孤立した人々の希望や励みになっていたという点です。

なかばおとぎ話の中の存在になりかけながらも、その理念をかつて体言していた国家があったことを皆が語り継いでおり、連邦の迎えを待ち続けている人々もいました。あらためて、連邦の理念がいかに普遍的な価値観をもたらしたか実感できましたね。

 

 

最強のファンサービス『トリルの共生生物』

 

DS9のダックスでおなじみ、トリルの共生生物。登場した時には膝を打ちました。

トリルは長命な共生生物と結合して記憶を共有することで、過去のホスト達の知識・技能・そして人格をも数世代にわたって継承できます。歴史に埋もれて行方知れずの惑星連邦を探し求める展開だった序盤において、数百年を生きる共生生物は『生ける歴史の証人』として最適です。

結果的にはアディラというキャラクターの成長によって、惑星連邦本部への道案内役にとどまらず、ドラマ内で大きな役割を果たしていました。今後も彼女にもっと活躍してもらいたいですね。



『U.S.S ヴォイジャー NCC-74656-J』

 

なんと32世紀の宇宙艦隊には、『U.S.S.ヴォイジャーJ』が所属していることが判明。

 

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円盤部に輝く『VOYAGER』の文字

スタートレック:ヴォイジャー』の主役艦だったヴォイジャーの名は、エンタープライズと同様、登録番号が継承される名誉に預かっているようで、胸が熱くなります。デルタ宇宙域から単独で帰還したのは歴史的偉業に違いないでしょう。

ただ、当のジェインウェイ艦長に「23世紀には銀河のどこにでも瞬間移動できるテクノロジーが存在していた」なんて事実を知られたら、7年間の旅の苦労がむくわれないとブチギレされそうですけども。

 

しかし、ヴォイジャーの名が継承されているということは、この時代にも新しいエンタープライズがあるのかもしれませんね?そうだとしたら、そろそろ登録番号につけるアルファベットが尽きかけているかもしれませんね。

 


スポック大使の念願、『ニヴァー』

 

TNGにおいて連邦の外交大使となったスポックの最大の目標であった『ヴァルカンとロミュランの再統合』。その夢が今、映像として現実のものとなりました。

 

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誰もがスポックを大好きなのです

正史ではAOSで描かれた通りロミュラスは崩壊しているため、ヴァルカン本星にロミュランの生き残りが移住する形での再統合になっているようです。ロミュランの戦闘修道女、クワト・ミラットも健在。

とはいえ古今東西、民族問題は簡単には解決しないもの。32世紀でもまだまだ禍根は残っているようですが、それでも連邦へ援軍をよこしてくれるあたりが、やはり古なじみですねぇ。

 

 


『オリオン・シンジケート』ではない。『エメラルド・チェーン』だ。

 

大火によって分断されたアルファ宇宙域において、覇権を握ろうとしているのがまさかのオリオンとアンドリアの犯罪組織。アンドリアはともかくオリオンが、これほどメインを張ったことがかつてあったでしょうか?

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連邦の提督相手に、対等に立ち回るオサイラー!

 

オリオンはTOSからいる種族ですが、悪役の印象ではあるものの、あくまで犯罪組織レベルであって、クリンゴンやロミュランのような連邦に比肩する強敵というよりは、『悪党』という言葉が似合う存在だったと思います。

それゆえに彼らは星間国家間のせめぎ合いの中では影が薄かったと思いますが、『いざ宇宙が分断され、暴力が支配する世界になった時、じつはアルファ宇宙域でもっとも有力になりうる存在だった』というポテンシャルを見せてくれたようで嬉しく思います。

個人的には、彼らは画面映えするので好きです。今後も活躍してくれるとうれしいですね。

 

 

当然のように出てくる『永遠の管理者』

 

これもサプライズ。

ジョージャウ皇帝を救うためにたどり着いた星に待ち受けていた謎の男性が、自らの名を名乗った瞬間、何やら見覚えのある岩のようなワームホールが出現しました。

TOS『危険な過去への旅』に登場した、永遠の管理者ではありませんか!

 

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(1967)

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(2021)



シーズン2といい、TOSファンへのサービスが手厚いですね。

TOSのビジュアルはそのチープさをネタにされることもありますが(ゴーンとか)、デザインワークそのものは象徴的な意味で優れていますよねぇ。元ネタがシンボリックであるほど、リメイクは輝きます。このビジュアルのアップデート具合にはしびれます。

 

 


タイムパラドックス、そしてマルチバースへの直接言及

 

32世紀ということはENTで時間冷戦が終結して30世紀の未来が修復された後の時代ですので、当然ながらタイムトラベル技術は確立しているはずでした。ディスカバリーのタイムトリップを不可逆にするには、そこのところにけじめをつけなければなりません。

 

32世紀の人々は、かつてあった時間冷戦や時空連続体の崩壊の危機、さらにはパラレルワールド(鏡像宇宙やAOS世界さえ!)も認知しており、その上で秩序を作っているようです。

スタートレックでは、パラレルワールドはえてして『偶発的に迷い込むもの』であって、劇中できちんと整理されて言及されるのは珍しいです。ファンを混乱させない配慮ですね。

しかしこれはいわば『マルチバース公認』ということなので、今後24~32世紀の間のミッシングリンクだけでなく、パラレル作品も大手を振って作れるということですね。

何をしても最後にはディスカバリーの時代から観測される。ディスカバリーはまるでターンエーガンダムのような存在になろうとしているのかもしれません。

 

 

あらたな地平は、まだこれからだ

 

以上のごとく、シーズン3は難点もありますが、ものすごくチャレンジブルで巧みな舞台設定、これからとてつもなく面白くなる可能性を感じさせてくれました。

なんにせよ、32世紀の世界への冒険はまだ始まったばかりです。下ごしらえは上々の出来ですから、これからの展開に期待して待ちたいと思います。シーズン4が待ち遠しいですね!

 

 

 

YouTubeでの総括はこちら


【※ネタバレあり】スタートレック:ディスカバリー シーズン3をトレッキー的にまとめよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:ヴァルカン本星の消滅は、正史との違いを決定づけるための、通過儀礼的なイベントでもあったのでしょう。

*2:トップになることだけがキャリアの終着点とは限りません。思うにバーナムはとことん指揮官には向いておらず、スタメッツやリノのような、科学士官のスペシャリストであるべき人物ではないかと思います。

*3:熱演といえばDS9のシスコ司令官を演じたエイブリー・ブルックス氏も印象に残るのですが、彼の場合はふだんさほど感情を顕にしないキャラクターだから抑揚があり、熱演の時が光るのです。バーナムは感情の蛇口が開きっぱなしに見えます。