『アベンジャーズ エンドゲーム』短文レビュー:人類が初めて体験する『キャラクター愛の洪水』に溺れる
『現在進行系の伝説』MCUのシリーズ集大成であり、10年間蓄積した財産をフル活用した、キャラクター愛の大氾濫。
ほかの誰にも真似のできない唯一無二の体験、それが『エンドゲーム』。
MCUの素晴らしさについて語った『マイティ・ソー バトルロイヤル』の記事はこちら
前作 『インフィニティ・ウォー』のレビュー記事はこちら
※先に謝っておきますが、本記事はレビューや解説、考察は含んでいません。
遅ればせながら、「ネタバレ無しの推薦文」かのようになっていますのでご了承ください。
インフィニティ・ウォーから1年、物語の続きを待ちわびた我々の前に、満を持して登場した『アベンジャーズ エンドゲーム』。
MCUという大きなシリーズの一旦の締めくくりとなる本作は、ある意味では、「どう転んでも偉大な作品になる」ことが約束された作品でした。
その中で、いかにファンの予想の上を行ってくれるのか。
また、どのようにしてアイアンマンやキャプテン・アメリカの花道を作ってあげられるのか。
世界中の注目が集まる中、示された『エンドゲーム』がもたらしたのは、各キャラクターに注がれた惜しみのない愛情と、過剰なほどのファンサービス。
11年分の貯金の効果を一気に解き放った、唯一無二の『感情の洪水』という体験でした。
あらためて、これほど 情報量過多のバケモノじみたコンテンツが映画という興行にパッケージングされて世に放たれるだなんて、そのこと自体がすでに「伝説」としか言いようがありません。
そういう意味で前例のない作品だけに、他の映画と単純比較をして、出来・不出来を語るには無理があります。
なにせ エンドゲームは、11年、21作の歴史とキャラクター描写の蓄積をバックボーンとした映画であり、さらにシルバーエイジ以降、数十年におよぶMARVELコミックスの歴史のおいしいところを濃縮した存在でもあります。
それに比肩しうる前例がありません。
そして、あまりにもファンサービスが盛り沢山なので、正直なところ語っても語り尽くせる気がしません。
ですので、思い切ってこの記事で具体的な内容については語りません!
それほどの情報量と厚みが、この作品にはあります。
もし万一、本記事をお読みの方で、『エンドゲーム』をまだ未見の方がいらっしゃって、こんな駄文を読んでいる時間がおありなら、すぐ映画館に行くべきです。
まだ間に合います。
この体験は、一生のなかでも、今しか味わえません。
この文化史に残る瞬間を体験することが、我々の趣味の世界にとって大きな資産になるはずです。
さてその上で、あえて私がエンドゲームを寸評するとすれば、『ファンのキャラクター愛を爆発させ、感情の制御を不能にする映画』というのがエンドゲームの真骨頂だと思います。
映画館でスーパーヒーロー映画を観ていて、観客席のあちこちから嗚咽が聞こえてくる…そんな体験、今まで一度もしたことがありませんでした。
エンドゲームは老若男女問わず、ファンの心を、感情を、こみあげ、あふれて止まらない洪水状態に陥らせていました。
これがこの映画の骨子だと思うのです。
Twitterでファンのやりとりを見ていて特に感じるところですが、キャラクターの演技、セリフの端々に出てくる感情の機微に思いをめぐらせはじめると、本当に無尽蔵に話題が出てくるのです。
- 『このキャラのここが好き』
- 『このキャラだからこそ、こんなセリフが言える』
- 『ここは過去作のシーンとオーバーラップする』
- 『この行動はこのキャラらしい決断だ』
- 『このキャラがこんなことを言うなんて』
…などなど、言い始めると本当に全てのシーンで語れる要素があります。
それはひとえに、今まで蓄積されてきたキャラクター描写のバックボーンがあるゆえです。
ときに笑わせ、ときに泣かせ、ときに落胆させ、ときに熱くさせる…。ひたすら、キャラクター描写の圧倒的な厚みと、製作者のキャラクター達への愛のすごさに圧倒されます。
そういう個別の点について語り始めると、あまりにも語ることが多すぎてしまうし、他の方が無数の卓見を示してくれていますので、私の出る幕ではないというわけです。
とにかく、エンドゲームは1本の映画というだけでなく、歴史に残る「事件」に違いありません。
これからのフェイズを楽しむためにも、絶対に見逃すことなかれ!
今の私に言えるのはそれだけです。