短文レビュー:『大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス』(1967)怪獣映画として名作すぎる
2大怪獣の繰り広げる空中戦!これぞ、昭和ガメラシリーズの誇る名作。
懐古短文レビューシリーズ2本目、『大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス』(1967)です!
前作『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』はこちら
この作品は幼い頃にかなり繰り返し観ていたので、今見返してもほぼ記憶にズレはありませんでした。
前作『ガメラ対バルゴン』とは打って変わって、子供が主役、子供が狂言回しであります。
前作までと比べて子供向けになった感じはありますが、主人公の男の子はガメラ大好きで利発な子供というだけであって、『対バイラス』や『対ジャイガー』のように子供の領分を越えた無茶な活躍をするわけではありません。
だからこそ、主人公がガメラの背中に乗って空を飛ぶシーンでは、観客の子供達は主人公に自己投影して、彼と一体になることができるんですよね。
少なくとも、子供の頃の私はそうでした。
人間ドラマパートは子供目線ではあるのですが、おじいちゃんの心変わりの場面なんか、大人になってから見ると何気に名シーンだなと思うのですよね。
今回の敵怪獣ギャオスというのは、ドラキュラ=吸血鬼の翻案怪獣らしいです。
人喰い、血の臭いに引き寄せられる、日光が苦手という特徴はそういう理由。
東宝のバラゴンやサンダもそうですが、人肉食の怪獣は恐怖が身近になって、やはり良いですね。
ギャオスはバルゴンと違って能力の個性が明確なのがいいですね。
ガメラとの差別ができていて、互いの得意なフィールド、苦手なフィールドでの攻防が移ろっていくので見応えがあります。
ガメラシリーズで最高の名怪獣といっていいと思います。
そして、なんといっても、怪獣がかなり「出ずっぱり」なのが本作の美点!
ギャオスが何度も顔を見せてくれるし、幕間でもガメラの傷を癒やすシーンが挿入されたりして、「怪獣映画を観た」という満足感が高いです。
(前作『ガメラ対バルゴン』は怪獣が現れるまでが長かったんです…。)
ガメラとギャオスの激突も、序盤と名古屋市街と最後の決戦、計3回にわたります。
それぞれシチュエーションの違いが工夫されていて、じつに楽しい。
ギャオスの能力が未知だった緒戦こそ苦戦したものの、相手の手の内がわかるにつれ、戦い方を変えて最後には勝利するガメラの頭脳派っぷり。かなり考え抜かれています。
あと、怪獣バトル以外の部分もなかなかのものです。
『人間の考えるギャオス対策』も、ただ戦車や戦闘機が撃ちまくるだけではなく、回転展望台を使った「回転作戦」といった、ちゃんとギャオスの弱点を突くことを考えた奇抜な作戦が楽しいです。
展開が目白押しで、一切飽きさせません。
あらためて観ても、名作としか言いようがないですね。
怪獣映画として、娯楽作として非常によく出来ています。
昭和ガメラを語る上で、絶対に外せない一作に間違いないでしょう。