『スタートレック:ディスカバリー』視聴済みのあなたが次に見るべきシリーズについて
『スタートレック:ディスカバリー』を視聴した新規スタートレックファンの方向けに、
スタートレックの数あるシリーズの中から『次に観るべき作品』をひねりだします。
さて、前回スタートレックシリーズ初心者の方向けに『スタートレック:ディスカバリー』をオススメする記事を書きました。
この記事で書いたように、『スタートレック:ディスカバリー』を楽しめた方には、ぜひ他のスタートレック作品にも興味を持って頂けたらと思います。
そこで本記事では、スタートレックの過去のシリーズを紹介しつつ、初心者の方が『どの順番で視聴していくのがいいか』を案内させて頂きます。
とはいえ、『スタートレックをどれから見るか』は永遠のテーマ。
さて、書き始めてみたのはいいものの。
じつはスタートレックファンにとって、『新規ファンはどのシリーズから視聴すべきなのか?』という問題は、永遠のテーマと言ってよいほど悩ましいものなのです。
私が思うに、その大きな要因は2つあります。
第一に、『歴史が長いゆえ、シリーズによっては「古さ」が否めない』という点。
日ごろから昔の映画やドラマに慣れ親しんでいる方ならいいのですが、そうでない方には最初のうちは口当たりが悪く感じてしまうかもしれません。
第二に、『話数の多いTVシリーズゆえ、面白さがスロースタートである』という点。
過去作のスタートレックは往々にして、時間の使い方が贅沢です。
メインとなるのは宇宙探検だったりしますが、「各メインキャラクターの主役回」があったり、「箸休め的なコメディ回」に丸々一話使ったりします。
逆にいえば、キャラクターや世界観を丁寧に掘り下げて描いていきますから、理解が深まってくるにつれ、面白さも加速度的に増していきます。
『たくさん観れば観るほど面白くなる!』のですが、だからこそ最初が難しいという訳です。
この2点をふまえて、過去のスタートレックの各TVシリーズを紹介していきますね。
「とっつきやすさ」をふまえた過去のTVシリーズ紹介
過去のTVシリーズ全5作品を、「とっつきやすさ」を加味して紹介していきます。
2018年3月現在、全作品がNetflixで視聴可能です。
宇宙大作戦 スタートレック
略称: TOS
放映年: 1966~1969年(全3シーズン)
設定年代: 23世紀後半
レトロ度・・・・・・★★★★★
親しみやすさ・・・・★★★★★
スロースタート度・・★☆☆☆☆
スタートレックすべての原点となったシリーズ。
最近のリブート映画のモチーフになっている他、50代以上の方には『カーク船長とミスター・スポック』と言えば高確率で通じるので、知名度も一番かも。
舞台設定は『スタートレック:ディスカバリー』から約10年後で、時代が近いのでディスカバリーとの関係性も深いです。
ストーリーは宇宙探査任務であちこちの星を訪れる、宇宙船エンタープライズ号の冒険を追ったもの。
内容的には1話完結の宇宙探検もので、非常にシンプルなドラマです。
未知の宇宙を探索するワクワク感、シンプルゆえにメッセージが明確なストーリーが特徴で、今見ても十分に面白いですよ。
全シリーズ中で最もエピソード数が少ないこともあり、とっつきやすさもあります。
唯一のネックは「相当なレトロ感」です。
なにせ1966年といえば、日本でいえば初代『ウルトラマン』が放映された年で、一般家庭ではまだ白黒テレビが大半だった頃です。
ただし、Netflixで配信されているのは近年作られたデジタルリマスター版ですので、
画質が綺麗な上に特撮シーンはCGIで作り直されたりしているため、かなり良好な状態で視聴できます。
新スタートレック
略称: TNG
放映年: 1987~1994年(全7シーズン)
設定年代: 24世紀後半
レトロ度・・・・・・★★☆☆☆
親しみやすさ・・・・★★★★★
スロースタート度・・★★★☆☆
『 宇宙大作戦』から20年後に放映された続編で、シリーズ人気の「中興の祖」的な作品です。
舞台設定は『スタートレック:ディスカバリー』より100年以上も未来の24世紀。
新世代のエンタープライズ号とそのクルーが宇宙を冒険したりします。
『宇宙大作戦』に比べ、世界観やキャラクター描写の厚みが圧倒的にボリュームアップしているのが特徴で、以後のスタートレックシリーズの基本形を作り上げました。
操舵手や保安チーフ、機関部長といったメインクルー達にスポットが当たり始め、キャラクターの魅力がまんべんなく発揮されます。とくにアンドロイドのデータやクリンゴンのウォーフは魅力あるキャラクターで、根強い人気を誇ります。
30年前の番組ですから2018年目線では古く感じる部分もありますが、宇宙大作戦と比べてレトロ感は格段に少なくなっています。船の操作がタッチパネル式になったり、タブレット端末が出てくるくらいには未来を先取りしていますので、現在でもあまり違和感はありません。
こちらもNetflixではデジタルリマスター版の恩恵で、非常に綺麗な映像で楽しめます。
難点は、スロースターターであること。20年ぶりの新作TVシリーズだったゆえに、初期は作風や設定の試行錯誤が見られ、第2シーズンの途中くらいから徐々に安定してきます。
スタートレック:ディープ・スペース・ナイン
略称: DS9
放映年: 1993~1999年(全7シーズン)
設定年代: 24世紀後半
レトロ度・・・・・・★★☆☆☆
親しみやすさ・・・・★★☆☆☆
スロースタート度・・★★★★☆
『新スタートレック』とほぼ同時期を舞台とした異色作です。
何が異色かというと、唯一の「宇宙を冒険しないスタートレック」だから。
宇宙ステーション『ディープ・スペース・ナイン』を舞台にしているので、基本的にこのステーションの中で話が進行します。
しかしながらこのステーションは外交上・戦略上で非常に大きな意味をもつ立地条件にあるため、エピソードのネタには事欠きません。
スパイや悪徳商人が往来したり、ときに宗教上の聖地となったり、ついには戦争の最前線になったりと大変です。
前半は宗教や民族運動的な題材を取り入れた外交・政治ドラマが主ですが、後半になるにつれてスタートレック史上最大の戦争がメインストーリーになっていくという多面性をもち、1話完結をベースにしながらも大河ドラマ的な側面も持っています。
戦争の色が濃くなってからは大規模な艦隊戦などの派手なシーンが続出して面白いのですが、他のシリーズと比べてハードな展開が多いため、好みの別れる作品でもあります。
難点は、いかんせんハードでシブい展開が多いこと。しかしドラマ面の面白さ、キャラクターの魅力は他シリーズに全く劣らず、コアなファンが多い作品とも言えます。
スタートレック:ヴォイジャー
略称: VOY
放映年: 1995~2001年(全7シーズン)
設定年代: 24世紀後半
レトロ度・・・・・・★☆☆☆☆
親しみやすさ・・・・★★★★☆
スロースタート度・・★★★☆☆
舞台設定はまたもや『新スタートレック』『ディープ・スペース・ナイン』とほぼ同時代です。
とある事件によって強制的に銀河の反対側まで飛ばされてしまった宇宙船USSヴォイジャー号が、地球に帰還するまでを描くというストーリー。
「原点回帰」とよく評されるシリーズで、作風は『宇宙大作戦』に一番近いかもしれません。毎回色々な星を訪ねたり未知の種族と出会ったりしながら、ヴォイジャーは地球を目指します。
『地球へ帰る』とだけ聞くと簡単そうですが、普通では数十年以上もかかってしまうほど遠い旅路で、しかも惑星連邦本部との連絡もとれない孤立無援状態という、過酷な旅です。
数々の困難を乗り越えていく、史上最強ともいわれる女性艦長に惚れましょう。
難点は、人気キャラクターのセブン・オブ・ナインが登場する第4シーズン以降が特に面白くなるというスロースタートさ。また、とくに初期は『新スタートレック』の知識がないとちょっと分かりづらい部分があるということでしょうか。
とはいえ、『地球へ帰る』という明確な目的があるだけに、『とっつきやすさ』的には非常に優れたシリーズと言えます。
スタートレック:エンタープライズ
略称: ENT
放映年: 2001~2005年(全4シーズン)
設定年代: 22世紀中ごろ
レトロ度・・・・・・★☆☆☆☆
親しみやすさ・・・・★★★☆☆
スロースタート度・・★☆☆☆☆
初代シリーズ『宇宙大作戦』よりもさらに前の22世紀を舞台にした前日譚が『エンタープライズ』です。
本作の舞台設定は『スタートレック:ディスカバリー』よりもさらに100年も前。
惑星連邦がまだ創立しておらず、人類が宇宙社会にデビューしたばかりの時代の話で、
むしろ『惑星連邦はどのように成立したのか』というのがストーリーの肝となります。
史上はじめて人類代表として宇宙に乗り出すNX-01エンタープライズ号には、全てが未知のことばかり。人類の技術レベルも他のシリーズに比べて低く、出会う宇宙人は格上の相手がほとんどなので、対抗するには機転と度胸が重要です。
舞台設定の時系列的に一番最初だけあり、普通に見る分には予備知識は不要。
また、2000年代に入ってから制作されたので、『古さ』を感じることはほぼありません。(意図的にレトロ・フューチャーしている部分はありますが)
難点は、単純にストーリーのクオリティが他のシリーズに及ばないということでしょうか。単体で見た場合は良いドラマなのですが、他のシリーズほどの突出した魅力に欠けるきらいがあります。
せっかく『ゼロからのスタート』のストーリーだったのに、テコ入れが図られた後半になるほど過去のシリーズからの引用ネタだのみになってしまったのも痛いところ。
結局、どれから観るべきなのか
長々とシリーズを紹介しましたが、結局のところ『スタートレック:ディスカバリー』を視聴済みのスタートレック初心者におススメすべきなのはどのシリーズなのか。
難題に対して結論をひねり出さねばなりません。
私の結論としては、
・もしあなたが50年前の映像作品に抵抗がないならば、『宇宙大作戦』
・古すぎるのは苦手かも…という場合は、『スタートレック:ヴォイジャー』
をおススメしたいと思います。
『宇宙大作戦』は本当にシンプルかつ普遍的な魅力をもったドラマで、『スタートレック:ディスカバリー』との関連性も強いので、レトロ感・チープ感に抵抗さえなければ第一におススメしたいところです。
マイケル・バーナムの養父母・サレクとアマンダも登場しますし、ハリー・マッドも登場します。
ひとつNetflixで『宇宙大作戦』を見る場合の注意点をば。
Netflixでは本放送に入る前のパイロット版エピソードも配信されており、配信順としてそれが「エピソード1」ということになっていたりします。
登場人物が本編と違ったりしてややこしいので、Netflixで視聴される方は『光るめだま』から視聴するのをおススメします。
レトロ感に苦手意識がある方には、『スタートレック:ヴォイジャー』。
ヴォイジャーは性質的に『宇宙大作戦』に似ており、シンプルに楽しめると思います。
最初は設定や用語がわかりづらい点もあるかもしれませんが、徐々に慣れていってもらえればと思います。後になればなるほど面白くなっていきますので!
いかがだったでしょうか。
一度スタートレックの楽しみ方が判ってしまえば、初心者の時には欠点に見えた『作品数の多さ』や『スロースタートさ』は、そのまま『楽しみの多さ、奥深さ』に変わります。
その楽しみを一人でも多くの方に味わって頂けたら幸いです。
本ブログのスタートレック関連記事、ディスカバリーの各話レビュー はこちらから。
今年の展開が楽しみなMCUについてはこちら