スタートレック︰ディスカバリー シーズン1 4話『兵器に心は必要ない』レビュー
4話目にして数々の伏線がブレイクスルー!爽快感のあるエピソード!
スタートレックらしさも徐々に感じられてきました。
※前半はネタバレなしでお届けします
スタートレック:ディスカバリー
Episode 4
『兵器に心は必要ない』
原題:"The Butcher's Knife Cares Not for the Lamb's Cry"
サブタイトル、長っ!!
まるでウォッチメンか何かのような含みのある言い回し…出典があるのかもしれないけども。
ともかく、スタートレック:ディスカバリー 4話をようやく視聴できました。
率直に言って、今回はとても楽しめました。
今まで3話にわたってサスペンス風に丁寧に説明されていた前振り・伏線の数々が4話では一気に動き始め、かなりのブレイクスルーだと言えましょう。
まるで『歯車がそろい、動き出した』感覚で、見ていて爽快感がありました。
・ディスカバリーの任務やポジションがかなり判明してきた!
・前回までは「ロルカ艦長がきな臭すぎる」感じだったが、彼の行動原理も少し見えてきた。
・未知の生命体に対する排斥ではなく、理解・共存の方向性も出てきた。
・ディスカバリーのもつ驚きの能力とギミック!
・『バトル偏重』の不安はほとんど解消!
・クリンゴン側のドラマも始動!なんとロマンスもあり!
こんな感じですね。
4話自体はとても面白いのですが、そのためには前回までの様々な要素が絡んできますので、3話までを丁寧に見ていた方ほど楽しめるのではないでしょうか。
一方で、前回までに私が苦言を呈していたような違和感に似た感想をネットでも見かけます。
『面白いのは面白いが、これがなぜスタートレックでなければならないのか』
『なぜ舞台設定が正史、それもファイブイヤーミッションの10年前でないといけなかったのか』
『スタートレックらしい各エピソードごとのワクワク感や、深い余韻がまったく無い』
ディスカバリーを毎週楽しみに見ている私ですが、正直なところ、これらの意見には同感してしまう所です。
ポイントは『今までのスタートレックシリーズとは楽しみ方の質が異なる。ディスカバリーはディスカバリーの楽しみ方をすればよい』という点であって、このことを受け入れられれば純粋に楽しめるでしょう。
『なぜ正史で、TOSの10年前なのか』に関しては、『ディスカバリーに登場する船やテクノロジーがTOS以前にしてはオーバーテクノロジーすぎる』という指摘もあり、確かに今のところ必然性はありません。
TOSとTNGの間の年代にして、キトマー条約の締結や、C型艦の挺身によるクリンゴンとの和平協定が起こる前後の舞台設定でも面白かったような気がします。
まあ、この点に関しては、今まで私達の不安を良い方向で裏切ってくれているディスカバリーのことですから、きっと意味があるのでしょう。
ただ、『鑑賞後の余韻がない』点に関しては、物足りなさを感じてしまうのは確かです。
(4話はジョージャウ船長のおかげで、少し余韻はありました)
事実、私は毎週ディスカバリーを見た後、『あー面白かった。翌週が楽しみだなぁ』とは思いながらも、続けて過去のTVシリーズを視聴してしまっています。
どこかで物足りなさを感じているのでしょうか。
とくにVOYのドクターやセブンの主役回を見てしまっています。
もしかしたら、『物足りない』というよりはディスカバリーのダークな雰囲気に辟易してしまって、コメディ回や感動エピソードを見ることで無意識に癒しを求めているのかも?
また、そんなことをしているせいで『アフタートレック』に関してはきちんと追っていません。
怠惰で申し訳ないんですが、アフタートレック自体がかなり長尺なので視聴している時間がないというのが正味の話。
キャストやスタッフとともにエピソードを振り返りつつ、ファンの声を紹介するという番組を、本編と同時にやっていくのはとても面白いですね。
ストリーミング配信限定の番組ならではですが、その楽しみ方に関してはちょっと乗り切れそうにありません。残念。
以下、個別の感想点をば。
【※ネタバレあり!】
・ディスカバリーの胞子ドライブ(Spore Hub Drive)なるものがいよいよ登場しました。
今まで円盤部に大きな空洞が空いていて、ブリッジ周辺が独立した構造になっているデザインが謎でしたが、まさか円盤部が回転するギミックつきとは!
居住空間ごと回っているのか謎ですが、回っている部分にクルーがいないことを祈ります。
・例の謎の生物はグエムルではなく、巨大な宇宙クマムシでした。
前回ではハッキリ全貌が見えておらず、多足であることも判らなかったのですが、今回スキャン画面で全体のシルエットを見た瞬間、『クマムシじゃないか!』となりました。
しかも、胞子ドライブのジャンプ先の演算をやってのけるスーパークマムシという。
『モンスターじゃない、本来はおとなしい生物だ』とバーナムが看破するあたりのスタンスで、非常にスタートレックらしさを感じました。それでこそバルカン出身の科学者ですよ。
・ロルカ船長に関しては、相変わらず謎めいていながらも、今回は強い使命感をもって不可能を実現しようとする、彼のポリシーを感じました。
『宇宙艦隊は本来軍隊ではないが、研究者気分でいたのでは戦争に勝てず、滅びるのみ』という現実主義的な危機感を感じました。バーナムを見込んでいるのも『実際的に問題に対処することができる同志』としてなのでしょう。
攻撃を受けている基地の音声を艦内に流して発破をかける場面など、私個人としてはその姿勢に共感も覚えました。
・そんなノリの船内で、副長なのに一番なじめていないサルー。
彼は恐らく臆病・賢明・誠実な人なのでしょう。
愛すべき人柄ですが、理想主義者ゆえに孤立感を高めてしまうかもしれませんね。
以前にも『母星では被捕食種族だ』と述べていましたが、リスク神経なる特殊能力を持っていることが判明…。スパイダーセンスみたいなものですかね?
・内容に関係ないけど、ロルカ船長の俳優さんがルシウス・マルフォイの人だと知ってびっくりしました。印象が全然違う。
・前回に引き続き、ケガや死体描写が露骨ですねー。従来のスタートレックだったら、絶対に見せないような傷つき方・映し方です。
ここはかなり賛否のあるところでしょう。
・クリンゴン側の政治劇にも大きな変化が。
トゥクヴマの後継者に指名されながらも後ろ楯をもたないヴォクはコルに取って代わられてしまいましたが、彼を慕うルレルによって生きながらえました。
ロマンス要素もあって、見ごたえ十分ですね。
・ところで、このコルという人物はカークと戦った、後のダハールマスターのコールと同一人物と理解していいんですかね?
(※2017/11/7 訂正:違いました。ダハ―ルマスターのコールは"kor"、今回登場のコルは"kol"と、別人です。ただし、コルが「コールの家」(House of Kor)を名乗っていたようなので、縁戚と思われます。)
・ディスカバリーの初戦闘でしたが、TNG以来の『卵状』のシールドのエフェクトはもう使わないんでしょうか?
見た目にはシールドの存在がわからないので、むき出しのブリッジに不安感を感じてしまいます。バード・オブ・プレイも結構すぐ撃沈するし。
船体が破壊され火を噴く!みたいな迫力重視なのかもしれませんが、ローテクに見えてしまって私は好みじゃないなぁ。
さて、また次回を楽しみに待つとしましょうか。
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