ソウル・エデュケーション

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スタートレック︰ディスカバリー シーズン1 6話『忘却の川』レビュー

まぎれもない父と娘のエピソード。
ディスカバリーは完全にスタートレックになりつつある。

 

 

※前半はネタバレなしでお届けします

 

 

 

スタートレックディスカバリー

Season 1 Episode 6

忘却の川

原題:"Lethe"

   

 

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サレクとマイケル親子を軸にした、スタートレックらしいドラマ回


前回に引き続き、ドラマ回。

さらにスタートレックらしさが出てきたエピソードで、とても見ごたえがありました。

 

 

前回までで明らかになっていたように、本作の主人公マイケル・バーナムは地球人ですが、戦災孤児となりバルカンで養育され、バルカンの流儀で生きてきたキャラクターです。

 

彼女の養父母は、スポックの両親として過去作品に何度も登場していたバルカンと地球人の夫婦、サレクとアマンダでした。

当然、スポックとは兄弟のように育ってきたであろうことが分かっていましたが、家族内の具体的な人間関係は明らかになっていませんでした。

 

今回はこの養父・サレクとマイケルの関係について切り込んだエピソードで、親子関係についてのドラマ、そして関係修復の物語でした。

 

彼らの物語を脇で支える、他のクルー達が仲良くなってきているのも喜ばしい。

 

イケメンなだけでなくコミュ力にも優れたアッシュや、クマムシ遺伝子を取り込んだためかキャラが変わったスタメッツ、初々しく無邪気なティリーなどのキャラクターが確立されてきて、クルーの連帯感も明らかに出てきていますね。

 

今までのスタートレックでは、クルー達の個々人の優秀さだけでなく、問題に直面した時のチームワークで乗り切っていく感じが大きな魅力なんですよね。

 

 

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クルー達の人間模様が徐々に形成されてきている感じ



一方、ロルカ船長のサブストーリーも見逃せません。

ときに宇宙艦隊士官としてはやりすぎなほど冷徹でストイックな彼の性格は、それゆえにディスカバリーのような特殊任務を帯びた艦を任されているのかと思っていましたが、どうやら最初からそういう性格の人物だった訳ではない様子。

 

彼の戦争による変化に気付いた提督が、彼の船長としての職務遂行能力に疑問を持つわけですが、このことでディスカバリーは特権をもった船ではなく、艦隊の通常の秩序の中に属している』ことが明確になりましたね。

 

ディスカバリーについてはあまりにも例外的な部分ばかりが目立っていたので、連邦の秩序が健在だということが確認できて安心です。

 

 

 

 

以下、個別の感想点をば。

【※ネタバレあり!】

 

 

  

 

バルカン限定の超便利設定、『カトラ』再来の件

 

以前にも「精神融合の影響で」サレクとマイケルの精神が一部リンクしていることは判っていましたが、本格的にその設定がストーリーに取り入れられていましたね。

 

過去のシリーズで『魂を他人に預けてバックアップ』&『別の肉体に魂移して完全復活』という荒業すら可能にしたバルカン人のカトラですが、今回は魂の直通回線としての機能もあることが発覚。

iPhoneを探す』か何かのような便利さでサレクを発見できました。

 

 

 

・連邦発足後の23世紀半ばであってもバルカンに『論理至上主義』なる差別的組織があり、およそバルカンに似つかわしくないテロ行為にまで及んでいるとは。

 

一般のバルカンの地球人への認識は、ENTの時代からそんなに変わっていないようですね。

まあ、TOSにおけるスポックも地球人を皮肉ったり、見下げるニュアンスのことはよく言っていましたからね。彼がハーフだからこそ、自虐の面もありますが。

 

ところで、バルカン流のテロの方法がどう見てもエクストリミスに適合しそこねた人みたいだったのが気になります。

 

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エクストリミス注入!アベンジャーズに通報しなきゃ。

 

 

サレクの志の高さが光る。

彼は地球人と結婚した男ですから、地球人への理解が深いのは今までも示されていますが、今回もバルカンと地球の架け橋とするべく、マイケルを引き取ったわけですね。

 

それゆえの苦悩…実の息子と血の繋がらない娘を天秤にかけざるをえないという。

その道の先駆者だからこそ、己の選択への後悔を1人で背負い込んで、責任を感じ続ける。

 

バルカンの原理主義者を標榜してテロ行為に走る連中に比べて、何と立派な志でしょうか。

 

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見た目も所作も過去作と違和感なし!と私の中で絶賛のサレク



 

ロルカ船長は戦争の緒戦で自艦のクルーを殺した事件により、PTSDの類を患って、現在の性格になっている模様。

 

ラストでは、ディスカバリーの船長職を続けるために、不都合な情報を持っているコーンウェル提督をわざと死地に赴かせたように見えましたね。

サルーが救出を上奏しても、急にマニュアル人間になって提督を見殺しにする感じ。

 

目的のためなら手段を選ばない性格も、戦争になってからの体験によるものでしょうが、またしても艦隊士官の常識からすると、倫理的に外れまくりですね。

 

一方で、マイケルがサレクを探しに行きたいと述べた時には独断で救出任務を許可するなど、完全に冷徹とは言えません。

たぶん、彼は“クルー”に非常に執着しているのではないでしょうか。

かつてのクルーの犠牲に責任を感じている分、現在のクルーに対しても敏感なのかもしれません。

 

 

ホロデッキ登場!

以前から『TOSの10年前なのにオーバーテクノロジーすぎる』とは言われていましたが、ついにホロデッキまで登場しました。

 

たしかに、VRが話題の昨今。

23世紀ともなると、これくらいは出来ていて当然のような気はしますが…。

 

一応フォローすると、今回登場したのはあくまで戦闘シミュレーションだったので、24世紀のもののような万能なものではないかもしれませんね。

モリアーティ教授が暴走して艦が危険に晒されることもないでしょう。

 

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クリンゴン艦内を忠実に再現していたホロデッキ

 

 

『DISCO』Tシャツはグッズ化の予感!

 

 

・アッシュの圧倒的コミュ力

前回初登場なのにさっそくクルーにも馴染んでいたり反逆者扱いのマイケルを気遣ったり、上官に勝ちを譲るなど配慮を見せました。

どうやら中身までイケメンのようです。

保安主任に就任したのでメインクルー化が確定ですね。

 

 

・前回大活躍だったスタメッツが躁状態の件

 

なんかキャラまで変わってるし、大丈夫なんでしょうか?
今回救出活動のためにジャンプをしていたようですが、スタメッツがクマムシの代わりを務めたということなのかと思いますが…。

 

 

・日本語版Wikipediaで、放映済みのエピソードの邦題が書きかえられています。

 

より直訳っぽい訳に修正されたようで、わざわざ修正する意味があるのかどうかは疑問…。

 

当ブログでも過去記事に邦題を載せていましたが、それらの修正は面倒なのですぐにはしません。いずれひっそり行います。

 

 

では、回を増すごとに味わい深くなってきているディスカバリー、次回も楽しみに待つとしましょう。

 

 

 

本ブログのスタートレック関連記事、過去のディスカバリーのレビュー はこちらから。

soul-jam.hatenablog.com