スタートレック︰ディスカバリー シーズン2 1話『弟よ』レビュー
ついに始動したシーズン2はスリリングな宇宙探検からスタート!
新船長パイクのもと、USSディスカバリーの次なる冒険が幕を開ける!
スタートレック:ディスカバリー
Season 2 Episode 1
『弟よ』
原題:"Brother"
ディスカバリー、あらたな旅路へ
さて、1年ぶりに帰ってまいりました、スタートレック:ディスカバリー。
そして当然、本ブログでのレビューも1年ぶり。
私自身の多忙もあり更新ペースは迅速とはいきませんが、「スタートレックをリアルタイムで視聴できる」この楽しみをより多くの方と共有すべく、なるべく頑張っていきますね。
シーズン1は最後の最後にまさかのエンタープライズ登場という幕引きで、ファンの心をがっちり捉えた訳ですが、あれから1年。ようやく続きが見られるとあって、待ちに待ったファン界隈は歓喜に湧いていました。
そしてシーズン2が始まってみれば、実際の内容も期待に違わない充実っぷり。
待望の新シーズンはどのようにして始まったか、さっそく振り返ってまいりましょう。
おさらい: 過去のディスカバリーの各話レビューはこちらから。
- ディスカバリー、あらたな旅路へ
- 待望のエンタープライズの雄姿!そしてパイク船長登場!
- 宇宙艦隊らしさあふれる船長、クリストファー・パイク
- おさらい:クリストファー・パイク船長について
- スタメッツの悲壮な姿
- 安定のティリー
- 笑顔の戻る船内、活き活きとしたクルーたち
- 格好よすぎる新キャラクター、ジェット・リノ
- ミスター・スポックを探せ!
- 必見!『ショートトレック』
待望のエンタープライズの雄姿!そしてパイク船長登場!
前シーズンラストから続き、エンタープライズがディスカバリーと遭遇。
とはいえ、この出会いは偶然ではなく、ディスカバリーのクルーにだけ伏せられていた模様。
エンタープライズの船長であるクリストファー・パイク大佐はディスカバリーの指揮をとり、謎の信号発生源の調査へ向かいます。
前シーズンで船長ロルカに裏切られ利用された経緯のあるディスカバリーのクルーたちは警戒しますが、パイクはロルカとは全く異なるスタンスを示し、クルーたちの信頼を勝ち得ていきます。
宇宙艦隊らしさあふれる船長、クリストファー・パイク
前シーズンの船長ロルカは鏡像宇宙出身のいわば「ミラーロルカ」だったわけですが、やはりこちらの世界では艦隊士官としても特殊な存在だったようです。
たとえば前シーズンの頃はディスカバリーの船内の雰囲気が、連邦の船にしてはやけにピリピリしておりクルー間の人間関係が見えなかったことに違和感を感じていたものですが、その原因も今回『ロルカが船内での会話を奨励していなかったため』と判明しました。
それは鏡像宇宙の軍隊然とした艦隊のありようの影響でもあったでしょうし、彼自身の正体を露見しにくくする為でもあったのでしょう。
対して、今回着任したパイクは人間関係やクルー達の存在を重んじていることがはっきりと示されます。
自分に対してディスカバリーのクルー達が抱く不審感をよく分かっており、そんなクルーに対して自分の弱点をさらけ出します。
そして感動的だったのは、ブリッジクルー達の名前を聞き、すぐに覚えて各員へ指示を出した一幕*1です。
今までのスタートレックの船長達はモブあつかいのクルーにいたるまでほとんど名前で読んでいましたからねぇ。
一方のロルカは『副長』『専門官』『操舵手』のような役職で呼ぶことが多かったと思います。
『名前で呼ぶ』ことは人間関係の構築において非常に重要ですから、これだけで一気に『惑星連邦宇宙艦隊の、ちゃんとした船長』という説得力が増して、個人的にはやられてしまったポイントでした。
今まで『スタートレックらしくない』と言われてきたディスカバリーでしたが、ここに来て一気に『らしさ』が戻ってきたというカタルシスがあります。
おさらい:クリストファー・パイク船長について
ところで、パイクについてはもう少し語るべきことがあります。
TOSファン、もしくはAOSの映画*2をご覧になった方には、彼はけっこうお馴染みの存在だからです。
彼はご存知USSエンタープライズの2代目船長であり、ジェームズ・T・カークの前任者にあたります。
TOSでは合計3話に出演。
スタートレックが初めて世に出たエピソードであるパイロット版『歪んだ楽園』では主役をつとめました。
本編でも『タロス星の幻怪人(前後編)』に登場。*3
『歪んだ楽園』では、すでにベテラン船長という設定ながら若々しさも残したハンサムガイで、女性に大変モテていました。
部下の死を悼んで悩むような陰の部分がありながら、任務では誘惑を跳ねのける精神力を示しており、ある意味カークよりもヒロイックなキャラクターだったと言えます。
AOSではカークの父親代わり・導き手として、より年長のキャラクターとして登場していたのは記憶に新しいところです。
(もっとも、AOSはパラレル世界なのでディスカバリーと直接関連するわけではありません。)
ディスカバリーは正史世界を舞台にしているので、登場したパイクはおそらくTOS『歪んだ楽園』の事件後に自信を取り戻した姿では無いかと思います。
このように、クリストファー・パイクはスタートレックの歴史においては重要な立ち位置にいるキャラクターですが、その割には深く掘り下げられたことはほとんどありません。
なにせ登場エピソードが少ないし、主役扱いだったのは『歪んだ楽園』だけなので仕方ないんですけどね。
それだけに、今後のキャラクターとしての肉付けに期待したいところです。
スタメッツの悲壮な姿
ディスカバリーのネタ担当愛されキャラであるスタメッツ。
やはり恋人であったカルバーの死は大きな傷を残している模様。
そして彼の命がけの研究であった胞子ドライブも稼働できない状況下で、バルカンからスカウトが来たとのこと。
ついに彼は船を降りる決意をします。
しかし『キャリアの転機』はレギュラーキャラの離脱理由としてよく使われますから、一瞬ヒヤっとしてしまいました。
安定のティリー
で、そんなスタメッツに手を差し伸べるのは、ティリーしかいないわけですよ。
本当にこのティリーというキャラはいいですね。
まだ候補生という立場ではありますが、彼女が周りの人間に与えてきた良い影響は計り知れません。
ティリーのような、まだ士官として成熟していない「新米」「成長途上」ポジションを担ってきたキャラクターは今までのシリーズにも配されてきました。
TOSではチェコフ、TNGではウェスリー、DS9ではノーグ、VOYではハリー、ENTではトラヴィスがそうでしょうか。
しかしティリーに関しては、その中でもすごく「普通の子」だと思うのですよね。
チートめいた能力があるわけでなし、設定上の強いキャラ付け要素やバックグラウンドがあるわけでもなし。エリートという感じもしません。
ただただ、彼女の人間性が何にも代えがたい貴重なものだというのが大変面白いキャラクターだと思います。
今後ディスカバリーの人間ドラマ面で大きな役割を担っていくのは確実でしょうね。とても楽しみです。
あとで触れますが、シーズン2と同時に公開された短編エピソード集『ショートトレック』には彼女の主役回があります。
彼女の前向きで努力家、決して人を蔑まない性格がどうやって形成されたのか、少しわかるような内容になっています。ぜひチェックください。
笑顔の戻る船内、活き活きとしたクルーたち
パイク体制になって早速、ポッドに乗るバーナムとクルー達が連携しての救出劇!
当ブログの推しキャラことデトマーにもセリフが増えて嬉しい限りです。
任務が成功して皆で歓声をあげるなんて、前シーズンまでのディスカバリーでは考えられないことです!
楽しくて仕方がない。
格好よすぎる新キャラクター、ジェット・リノ
そして登場した超・男前な新キャラクター、技術士官ジェット・リノ。
なんだろう、この登場の仕方は。
格好良すぎやしないでしょうか。
こういう「過酷な環境でもたくましく耐え抜く、若干フリーキーな匂いも感じさせる豪傑キャラ」はじつに魅力的です。
しかも医療の知識にも長けているということで、今後ディスカバリーにとどまるなら先行きがじつに楽しみですね。
ミスター・スポックを探せ!
そして今回はまだネタとして温存されつつも、マイケルとの関係は少しずつ語られ始めた義弟・スポック。
なんと、すでにエンタープライズを去った後でした。
今後、彼がどのようにストーリーに絡んでくるのか。
サレク父さんもまだ同行中だけに、どんな登場をしてくれるのか楽しみです!
必見!『ショートトレック』
ディスカバリーシーズン2に先駆け、本国で公開されていた1本20分のショートストーリー、『ショートトレック』。
日本では視聴できないかとも思われたこのシリーズも、Netflixで配信されています!
翻訳・吹替版も完全な状態なので、ぜひ見てみてください!
モバイル版アプリでは、『予告編』の欄にて配信中です。
PCやタブレット版では『予告編』の見方が確認できなかったのですが、Netflix加入ずみの方なら絶対に見て損はない内容になっています。
とくにサルーの生い立ち、ティリーのフィーチャーされたエピソードは本編にも繋がり必見ですし、SF的スピリッツあふれる外伝的ストーリー『カリュプソー』も必見です。
今後共展開が楽しみなシーズン2とあわせて、新作をリアルタイムに楽しめる一生に一度のチャンスを逃さず楽しみたいと思います。
ディスカバリーの新エピソードは毎週金曜更新です!
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