スタートレック︰ディスカバリー シーズン2 3話『光の先』レビュー
赤い天使をめぐる謎、クリンゴンの抗争劇、胞子のもたらす不思議現象、さらにスポックの行方とセクション31の暗躍!
要素「全部乗せ」のエピソード!
スタートレック:ディスカバリー
Season 2 Episode 3
『光の先』
原題:"Point of Light"
見出しにも書きましたが、今回は本当に要素が多いエピソードでした。
シリーズ初見者はついてこれるのか不安になるほどの畳み掛けっぷり。
てんこ盛り状態の要素を振り返ってまいりましょう。
前回レビューはこちらから
ティリーとメイ
前回、既に死んでいるはずの友人と艦内で再会を果たしたティリー。
マイセリウム胞子が『死者との会話』を実現したのかとも思いましたが、どうやら胞子そのもの?が昔のクラスメイトだったメイという人物の見た目を借りて、幻覚として登場していたということのようです。
スタメッツがカルバーに遭った話とは別ケースなのか。
スタメッツを船長と呼び、ティリーを希望と称する彼女には目的があるようですが、果たして何者なんでしょうか?
ゴーストバスターズみたいに摘出された彼女の本体はグロテスクですが、どんな存在なのか好奇心をそそります。
しかし、マイケルもサルーも窮地のティリーに優しくて、嬉しくなりました。
すっかり仲間ですね。これもティリーの人徳のなせる業でしょうか。
アマンダとマイケル、そしてスポック
前回スポックは精神病棟に自ら入ったという情報が明らかになりましたが、なんと担当医師を殺して殺人罪で手配されているという事実が判明。
捜索に乗り出した母・アマンダが、娘であるマイケルを頼って乗り込んできました。
しかし、アマンダというキャラがこんなにアクティブに動くのも過去シリーズの彼女より現代的ですね。海千山千の外交官の妻ですから、むしろこのくらいのほうが自然かもしれませんが。
捜索の流れの中で、マイケルがスポックに対して『口にできないほど酷い仕打ち』をして、彼をわざと遠ざけようとした過去が明らかになりました。
これまでスポックはシリーズ通しての主要人物として登場し、彼について多くのことが知られてきましたが、彼の口から『一緒に育った地球人の義姉』のことを語られたことは一度もありませんでした。
その要因が、このきっかけによる不和だったのかと想像を掻き立てられます。
赤い天使とスポック
今シーズンの鍵になってきそうな『赤い天使』。
スポックは実は子供の頃からその存在を知っており、幼き日のマイケルの窮地を天使からの知識で救ったこともあったとのこと。
重ね重ね、天使とはいったいどんな存在なのか。
謎は深まるばかりです。
スポックが殺人を犯したということも、もちろんファンなら濡れ衣だと確信していることでしょう。
なにか陰謀に巻き込まれ、逃走を選んだに違いありませんよね。
クリンゴン政変・ルレルとアッシュ、そしてヴォーク
今回はシーズン1最終話以来不明だった、クリンゴン帝国の内情シーンが多くて嬉しかったです。
しかし、母星クロノス自体を人質にとって総裁の座についたルレル。
外見は完全に地球人になり、記憶や人格も混濁しているアッシュ。
この二人が旗振りをして帝国を改革しようとしても、反発が多いのは当然のことでしょう。
そして、ルレルとヴォークの子供がいたことも判明。
政局を落ち着かせるため、ジョージャウの手引きで子供とともに脱出したアッシュは、今後どういう道を歩んでいくのか。
そして子供の運命はどうなるのか。これは見ものです。
セクション31が満を持しての登場
ルレルとアッシュを救援し、アッシュと子供の脱出を手引きした元・鏡像宇宙のテラン皇帝であるジョージャウが再登場しました。
しかも驚くべきことに『セクション31』に所属のエージェントになっている模様。
セクション31は過去シリーズ『DS9』で本格的に登場した、惑星連邦の非公式の秘密諜報組織です。
一見、理想主義で成立している惑星連邦を陰から支えてきた連邦の暗部であり、AOSの映画では『イントゥ・ダークネス』でも陰謀をめぐらし、優生人類たちを陥れていたことは記憶にあたらしいですね。
スタートレック自体、リベラルな理想的未来社会としての惑星連邦を舞台にしたドラマなので、セクション31の存在はシリーズ中では異質な存在であります。
ディスカバリーのストーリー的にはもってこいとも言えますので、放送開始当初から登場は予見されていましが、ここに来て満を持しての登場です。
今後、政治劇方面に盛り上がっていくのが予想できますし、楽しみです。
クリンゴン人に髪が生えた件
さて、私はディスカバリーの開始当初から、クリンゴン関係のデザインや文化描写については苦言を呈してきました。
ディスカバリー自体は非常に面白いドラマなのですが、この点に関してだけは未だに釈然としていない部分があります。
詳しくはシーズン1開始当初の記事をごらんください。
ディスカバリーに登場するクリンゴンは、ENTを含めて私達の知るクリンゴンとはかなり乖離した文化描写になっていました。
クリンゴン人の外見についても、おなじみになっていた毛髪やヒゲもなく、クリーチャー然とした見た目に改変されていて、強い違和感が拭えなかったのです。
それが今回から唐突にクリンゴン達に急に髪やヒゲが復活しており、その理由も今の所
『戦争が終わってから、クリンゴン達はまた髪を生やしている』
という説明のみで終わってしまっています。
つまりクリンゴンは戦時中は剃髪していたというわけでしょうか?
クリンゴンは戦闘種族で大体いつも戦っているのに、今までそんな話は聞いたこともありません。
あと、今回クリンゴンたちの格闘戦が描写されましたが、それも少し残念でした。
ディスカバリーはいつも過去シリーズにくらべてアクションに凝っているイメージですが、今回は刃物により単なるチャンバラに見えてしまい、バトラフも細くて「クリンゴンの戦闘」のダイナミックさがあまり感じられなかったように思いました。
ウォーフがやっていた戦闘はバトラフという独特の刃物をうまく攻防一体の武器として使い、素手の格闘技術も織り交ぜている感があったように思うのです。
なんというか、『文化による裏打ちがされていない』戦い方の感じがしてしまうのが少し残念ポイントに思えました。
スピード感とかカメラワークはとても凝っていたのですが。
今後の変化に期待します。
さて、要素が無数に同時並行状態のディスカバリー。
次回はどんな物語を見せてくれるのでしょうか。
楽しみに次回を待ちましょう。
本ブログのディスカバリーの各話レビュー はこちらから。
シーズン1の最初のレビューはこちらから
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