スタートレック︰ディスカバリー シーズン2 2話『ニュー・エデン』レビュー
人類未踏の宇宙探検、「スタートレック感」あふれる展開!
謎の信号、謎の『天使』…解き明かす鍵はスポックが握るのか?
スタートレック:ディスカバリー
Season 2 Episode 2
『ニュー・エデン』
原題:"New Eden"
パイク船長のもと、銀河にちらばる謎の信号の発信源を調査しに旅立つディスカバリー!
一方、スポックの部屋に残された記録から、彼が謎の信号の出現を予測していたことが判明する。
予言者スポック
というわけで、さっそく事態を予測していた「予言者」のごとき紹介をされたスポック。
今後の鍵を握るのは彼をおいて他にはないでしょう。
スポックのずば抜けた優秀さはスタートレックファンなら誰もが知るところではありますが、どうやらものすごく壮大な謎に一人で取り組んでいた模様です。
彼はそのことに一人で思い悩んでいたからか判りませんが、自ら精神病棟に入ったそうです。これは非常にスポックらしい行動に思えます。
ST11における、激高した後に自ら船長資格を失ったと判断する姿や、
TOS『タロス星の幻怪人』における、自ら連邦への反逆罪を申告して自分を勾留するようカークに乞う姿*1が思い出されます。
スポックにしてみれば、自分のメンタル対しても客観視ができるというか、あくまでも論理的な判断なんでしょうね。
船長らしい船長、パイク船長
ディスカバリーに留まったパイク船長。
旧式の制服も当然似合い、堂に入っています。
一方、胞子ドライブについて聞いた時の『瞬間移動できる船なんて、にわかには信じがたい』というリアクションがユーモラスでした。
しかしそれでもクルー達の言うことを信じて胞子ドライブの起動を即決するところはベテラン指揮官の矜持を感じますし、スタメッツの遺伝子改造のことを知った上で『今回も大目にみてもらおう』と強行するあたり、ただ親しみやすいだけの船長ではなく、規則よりも問題の打破を優先するカークやジェインウェイ的な豪胆さも覗かせています。
地球人の暮らす星、ニュー・エデン
ベータ宇宙域の奥深くへとジャンプし、たどり着いたのはなんと地球人の暮らす星『ニュー・エデン』でした。
住人達は21世紀の第三次世界大戦中に、謎の存在によって地球から移住させられた人々の子孫の模様。
彼らは21世紀までの地球の歴史は知っていますが、大戦により地球は滅んだものと思っており、この星で強かに生き延びていました。
そしてワープ技術に達するどころか、ほとんど産業革命以前のようなレベルの生活をしています。
ディスカバリーは謎の探求にあたる過程で、惑星を襲う未曾有の危機を防ぐべく奔走することになりました。
しかし、惑星連邦には『ワープ以前の文明に干渉することはできない』という大原則があるため、あくまで住人たちに知られてはなりません。
ところが住人の中にはクルーたちの正体に気づいた者もいて・・・という展開が実に面白かったです。
このあたりのドラマはST8『ファースト・コンタクト』に近い雰囲気もあり、SF感があって非常に懐かしい気持ちになりました。
それにしても、住人達の祖先をニュー・エデンに移住させた存在は何者なのかが気になります。
謎の『天使』の正体は?
目下、いちばんの謎として躍り出てきたのは、前回もマイケルがおぼろげに目にしていた『天使』の存在です。
今回、ニュー・エデンの住人の祖先たちを移住させた存在と同一らしきことが示唆されました。
描写からして、ニュー・エデンの危機を事前に知った上で、天使が謎の信号と赤い光を発し、ディスカバリーを当地に呼び込んだとも考えられます。
ニュー・エデンの協会のステンドグラスにはその姿が描かれていました。
天使の正体については、スタートレックファン的には色々な推測ができます。
というか『人智の及ばぬ超存在』のたぐいはシリーズ中数え切れないほど登場しているので、今の少ない手がかりではとても絞りきれず、いくらでも推測ができてしまう状態です。
唯一、判明しているのは外見のシルエットですが、そこからの推測では『アイコニアン』説が有力でしょうか。
アイコニアンはTNG以来、何度か言及されている古代種族で、かつては銀河に広がる大帝国を築いていたとされているものの、文明としては既に滅亡した種族です。
24世紀の惑星連邦の技術をもってしても解析のできないレベルの高度な異物を多数残しています。
アイコニアン自体はドラマシリーズに登場したことはなく、どんな姿の種族だったのかも不明でした。
しかし近年の公式ゲーム『Star Trek : Online』では「じつは生き残りがアンドロメダ銀河で文明を再興していた」という設定でアイコニア戦争というものが起こっているそうで、アイコニアンの姿も判明したそうです。
この姿が今回の天使と似ているということで、早くも海外ファンの間では比較画像を作った人もいる模様です。
さらに、TNGではアイコニアの遺跡から瞬間移動ゲートのような装置が発見されており、今回の天使の神出鬼没ぶりからしても天使=アイコニアン説に信憑性があります。
果たして実際はどうなるのか気になるところですが、今後の展開に要注目です。
マイセリウムは『死者との対話』を実現する?
今回、マイセリウムのネットワークが死者との対話を可能にする?という性質をもつことが判明しました。
スタメッツはネットワーク内でカルバーに会い、
ティリーも故人のはずの幼馴染と会話していました。
時空間やパラレルワールドをも行き来するマイセリウムのことですから、ありえそうな話ではあります。
SF的な解釈で死後の世界を示してくれるとすると非常に面白そうです。
ライカー監督ふたたび
そして本エピソードの監督は、何を隠そうジョナサン・フレイクスです。
我らのライカー副長がメガフォンをとっています。
個人的には彼の監督作、映画ST9『叛乱』や『サンダーバード』があまり好きではなく良い印象は持っていなかったのですが、今回はテンポもよく、従来のスタートレックらしい安定感を感じました。
今後も登板してくれると嬉しいですね。
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