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スタートレック:ディスカバリー シーズン2 13話『甘い悲しみ パート1』レビュー

ついに最終決戦を迎えるディスカバリーエンタープライズ

決死の作戦に打って出る彼らに未来はあるのか。

 

 

 

 

スタートレックディスカバリー
Season 2 Episode 13
『甘い悲しみ』
原題:"Such Sweet Sorrow, Part 1"

 

 

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最終決戦の幕が開く

 

 

 

 

球体のデータの自己防衛能力がすごい件

 

前回のラストで、パイクは球体のデータを葬るためにディスカバリーもろとも自爆させることを決定。しかし、そうは問屋が卸さないらしく自爆プランはあえなく却下に。

 

なぜなら、マイケルがタイムクリスタルの影響を受けて見た未来で、データそのものの自己防衛本能が働いてディスカバリーの自爆は不可能になり、さらに外部からの攻撃での破壊も難しい(シールドを張って抵抗する)ということが判明したからです。

 

今までの『データ自体が削除されることを拒む』という時点でも相当なチートではありましたが、指揮官権限を上書きして船の防御機能まで乗っ取るとは。さすが謎の球体のデータというべきか、でたらめな能力です。

 

それにしてもマイケルがいとも簡単にタイムクリスタルに触れて未来を幻視していましたが、前回のボレスの寺院でパイクがクリスタルに触れる前、さんざん脅しをかけられていたのは何だったのでしょうか。パイク船長のあの恐れを超克した覚悟の重さは何だったのか、という気がしないでもありません。

 

 

 

片道切符…決死のタイムトラベル作戦

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片道切符の作戦に賭けるしかない

 

…というわけで、ディスカバリーごとデータを葬ることができないことがわかった以上、とれる方法は一つだけ。

ディスカバリーをコントロールの手の届かぬところに隠す』

それを実現するには、ディスカバリーを未来に送ることです。

 

赤い天使のスーツを復元し、マイケルがスーツを装着してディスカバリーを先導。ディスカバリーを未来に送った後は、ふたたび現在に戻れる保証のない危険な旅です。

うーん。セクション31の追手が迫り、時間がないはずなのに船内でスーツを復元できてしまうとは…。タイムクリスタルさえ揃えば、意外とスーツ自体は単純な構造だったんでしょうか?

 

 マイケルとともに未来へ同行する決意を示した者もいましたが、残って務めを果たすため、マイケルとの別れを悲しむ人々もいました。

 

しかし、一刻をあらそう非常事態なのに、非戦闘員のサレクとアマンダ夫妻までが乗り込んで来たのにはびっくりしました。『カトラで娘の危機がわかった』とは言うものの…。もともと便利設定のカトラではありますが、ディスカバリーではさらに輪をかけて便利に使われています。

死地に赴くマイケルにサレクとの和解が必要だったのかもしれませんが、TOS以降との整合性上スポックと和解するわけにはいかないので、家族の中でスポックだけ蚊帳の外というのも、なんとも。

この展開については正直ちょっとついていけなかったですね。

 

 

 

リノの献身

タイムクリスタルにエネルギーを充填するため、何やら身を挺して船にとどまる意思を示したリノ。

彼女のキャラはまだそれほど掘り下げられていない気がするので、、この任務で犠牲になることは避けてもらいたいですね。

次回、彼女の活躍と生還を期待します。

 

 

 

ショート・トレックスから久々の登場、ポー女王

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ザヒアのポー女王が再登場

 

今回のキーマンとして、ショート・トレックスの『逃亡者』で登場したザヒア星のポー女王が登場。

 

ティリーとの友情は健在で、快くその卓越した頭脳を提供してくれます。友人との再会ができることが嬉しいあまり、余計なことまで口走りそうになるティリーが微笑ましい。

 

こんなにも本筋に関わってくるのであれば、ショート・トレックスはやはり視聴必須でしたね。

カミナーのエピソードはショート・トレックス未見の方にも問題ないよう配慮されていたと思いますが、今回はそうはいきません。

Netflixの『予告編』あつかいという微妙な配信方法が仇となって、未視聴になっている方もいたのでは?

 

 

 

ショート・トレックス 『カリプソ』について

 

ショート・トレックスといえば、今のところ本編と関わりがみられない唯一のエピソードが『カリプソ(邦題:宇宙の恋人)*1』です。

 

このエピソードでは1000年先の未来が舞台で、ディスカバリーはその場から動かずに長年放置されてきたことになっていました。

そして、ディスカバリーのコンピューターは「ゾーラ」という女性としての人格を獲得し、人間と同じように会話し、思考していたのです。

 

1000年もディスカバリーが放置されるという非現実的なシチュエーションと、コンピューターに自我が宿っているという突飛な設定で、美しい心の交流が描かれた良エピソードでした。

その特異な舞台設定ゆえ、一見したところでは本編と関係のないIfストーリーにも見えていたのですが、ほかのショート・トレックスのエピソード達がことごとく本編と密接に関わっている以上、「カリプソ」も本編とつながっていると見るべきでしょう。

 

タイムトラベルを可能にするタイムクリスタル。

そして、AIが自我を獲得することを実現できる『謎の球体のデータ』がディスカバリーの中に存在する以上、ゾーラ誕生の要件は揃っています。

本編が「カリプソ」の未来とどう繋がるのかも見どころですね。

 

 

 

余談:エンタープライズ船内について

 

さて、今までの話とはまったく関係ありませんが、TOSファンとしてSFオタクとして、触れずにはいられません。

他でもない、エンタープライズの船内についてです!

 

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何ということでしょう…このブリッジは!

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あまりにも見慣れた、しかし初めて見る映像

 

このブリッジのセットには感動しました。

美術的に、非常に繊細に気が遣われたデザインだと思います。

 

船体の外観と同様、TOSのブリッジをベースにしつつも、TMP(とくにST3以降)の感じを取り入れてよりモダンになっています。

さらにその上でディスカバリーの船内美術のテイストとも折衷点を狙ったような、『現時点でのベストな落とし所』というデザインではないでしょうか。

ジョージャウ皇帝には悪趣味と言われてしまいましたが、カラーテレビに映えるサイケデリックな配色は今見てもよいものです。

 

もっとも、TOSのセットと比べると『広っ!』という印象でもありますが…!それは仕方ないですね。

 

この感動はブリッジだけにとどまりません。

 

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赤い金網…!赤い金網じゃないか!

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ターボリフトの謎のハンドルまで!


この辺のディテールには、かなりたまらない物があります。

こういうものを見せられると素直に喜んでしまうタチで、じつに単純思考ではありますが、これはもう条件反射のようなものです。

 

ブリッジのあの一段高いキャプテンズ・チェアにパイクが座り、操舵士の席にナンバーワンがいるのをみると、『歪んだ楽園』の冒頭を思い出さずにはいられません。

 

斬新な試みも多いディスカバリーですが、なんだかんだいって、過去シリーズへの愛も大きな魅力の構成要素にはなっているんですよねぇ。こういうファンサービスには、素直に喜ぶのが吉でしょう。

 

 

 

さてさて、セクション31の艦隊に包囲されたディスカバリーエンタープライズの運命やいかに。

 

シーズン2の最終章を見届けるとしましょう。

 

 

 

本ブログのディスカバリーの各話レビュー はこちらから。

 

 

 シーズン1の最初のレビューはこちらから

 

 

 

ディスカバリー』以外のスタートレックシリーズの紹介と、見るべき順番のガイド記事はこちら

  

 

 シリーズ初心者向けの『ディスカバリー』推薦記事はこちら

 

 

 スター・ウォーズについても書いています

*1:いつもながら、邦題にやる気がなさすぎる!