ソウル・エデュケーション

愛する文化を消化し、エッセンスを次世代に遺す=『魂の教育』

MARVELのアメコミ版『ゴジラ』当時のコミックを入手した話

70年代の『MARVEL版ゴジラ』当時モノのリーフを購入してしまった、というお話。2010年代のリーフと比較して、紙媒体そのものを愛でます。

 

 

今回はコミックについての話題です。

 

私は自称アメコミ好きですが、基本的に邦訳派で原語版はあまり持っておらず、ましてや自分が生まれるよりも以前のコミックに手を出すほどのマニアではありません。

 

今回はそんな私が、「70年代の当時モノのリーフ*1を購入してしまった」というお話です。

 

入手したのはこちら。

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Godzilla, King of the Monsters #3(1977)



そう、70年代の『MARVEL版ゴジラです。

 

別に”価値あるレアな一冊”でも何でもないのですが、何かと話題の『MARVEL版ゴジラであることと、私が『70年代のリーフ』を手に取ることが初めてだったので、今の感動を書き留めておこうと思ったしだいです。

 

アメコミの中・上級者の方にはつまらない内容かもしれませんが、しばしお付き合いください。

 

 

 

MARVEL版ゴジラについて

ところで、『MARVEL版ゴジラ』の存在をご存知ない方もいるかもしれないので、簡単に紹介させて頂きます。

 

今やMCUの映画シリーズで世界を席巻しているMARVELですが、1970年代にはゴジラを主人公としたコミックを出していた時期があったのです。

むろん、他のヒーローコミックと同じユニバース内にゴジラも存在していました!

 

タイトルはGodzilla, King of the Monsters』

初代ゴジラの米国公開版のタイトルと同じですね。

1977年から1979年にかけて、全24号にわたるストーリーが展開されました。

これがいわゆる『MARVEL版ゴジラ』。マベゴジなどと呼ばれるシリーズです。

 

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正直、日本のゴジラファンからするとこの「太ったトカゲ」のような怪物ゴジラだと言われてもあまりピンと来ないですよね。

体は緑色、目は真っ赤だし、放射熱線を吐く時も背ビレは光らず、熱線そのものも「青い光線」ではなく「赤い炎」。

ありがちなドラゴン型怪獣のデザインになっています。

 

このシリーズのストーリーでは、ゴジラは世界各地を暴れまわったり、巨大ロボと殴り合ったり、人間サイズに縮小させられて洋服を着たり、最終的にはNY市街でアベンジャーズファンタスティック・フォーと対決するそうです。

 

で、私が入手したのは、シリーズ初期にあたる#3。

ゲストキャラとして、アベンジャーズハーキュリースヘラクレス)とブラックウィドウX-MENエンジェルアイスマンというメンツが登場し、上陸するゴジラを迎撃するという筋立てです。

 

 

 

消費されるためだけの、ポップカルチャーの最小単位

前置きが長くなりましたが、さっそく今回入手したリーフを見てみましょう。

 

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普通に見ても、印刷の網点が見えるレベル

 

どうですか、この風合い。

 

ザラザラとした、インクの乗りにくそうな粗い紙質。

フルカラーではありますが、明らかに印刷の網点が見えるし、版の指定がアバウトで線からはみ出しているのは当たり前のクオリティです。

 

まさしく、アメリカの子どもたちがお小遣いで楽しんでいた、『日々消費されるためだけのポップカルチャーの最小単位』とでも言いましょうか。

 

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この程度の粗さは「常識」

しかも元々の低品質に加えて、経年劣化によってさらに味わいをましています。

まこと、たまりません。

 

これが神保町の古書店で数百円で売られていたのを見つけて、思わず買ってしまった私を誰が責められるでしょうか?

 

 

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S.H.I.E.L.Dのヘリキャリアを襲うゴジラという夢の共演



 

 2010年代のリーフと見比べてみる

ところで、この『ゴジラ』を買うまで、私にとっての原語版リーフというのは、『邦訳に恵まれなかった作品を(アート目当てで)安く買える媒体』という存在でした。

そのため、私が持っているリーフはあまり邦訳機会のなかった作品*2に限るわけなのですが、いずれも90年代後半~2010年代のものです。

  

 

たとえばコレ。

 

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『Zatanna Vol.2 #11』、2011年刊です。

 

今回入手した『ゴジラ』は1977年の刊行ですので、この『ザターナ』とは34年の隔たりがあります。

両者を比べてみれば、34年間のアメコミの進化の歴史が見えるのでは。

 

というわけで、70年代と2010年代の新旧のリーフが揃うことになりました。

 

 

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34年の進化の軌跡



並べてみると、こんな感じ。

40年分の経年劣化を無視したとしても、別モノレベルでクオリティが上がっています。

 

からして段違いです。

表面はきれいにコートされ、黒も深く、きれいにのっています。

 

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なめらかで立体的なカラリング。デジタルなのでエフェクトも自然

 

デジタル着彩により、色版がベタに重なることはありませんし、カラー自体もなめらかで立体的な彩色に。

 

まあその分、価格のほうも30セント→2.99ドルと、大幅にはね上がっています。

子供が駄菓子感覚で買えるものから、それなりに嗜好品として成り立つレベルまでにレベルアップした訳ですね。

なんというか、34年を経ての、コミック文化の地位向上が目に見えるようですね。

 

 

 

圧倒的な広告量

そして、『ゴジラ』の方の特徴として目につくのは、何より『広告の多さ』

 

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ストーリーが始まってすぐ、このレベルの広告がページを占拠します

 

もともとリーフというのは、コミックの合間に広告が挟まるもの(内容はコミック関連グッズ通販など)なんです。

ですが、この『ゴジラ』ではその頻度と量が常軌を逸しています

 

90年代以降のリーフであれば、

「本編の途中数ページごとに、1ページずつ広告が挟まる」程度で、見開きでの広告は少なく、あとは本編が終わった後にまとめて広告専用の残りページが設けられるレベルです。

 

 しかし、この『ゴジラ』では、

 

本編2ページ

広告見開き2ページ

本編2ページ

広告見開き2ページ

 

こんな感じで、合間合間に本編と同じくらいのペースで見開き広告が挟まってきます。

しかも、広告の熱量がすごい。

賞品が所狭しと並べられ、派手な煽りが入り、読者の気を引こうとしてきます。

 

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今となっては資料価値がありそうなグッズの広告とか

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ボディビルや筋トレグッズの広告が多いのが、アメコミならでは

 

本編の次のページにいくまでに、前ページまでのストーリーを忘れてしまいそうです。

 

70年代当時はそういうものだったのか、『ゴジラ』が特別な例なのかは分かりませんが…。

いずれにせよ確かなのは、『非常に読みにくい!』ということ。  

コミックと広告、どっちがメインなのか分からないくらいです。

 

このあたりの、MARVEL社の経済的事情や、当時の広告ビジネスについて思いを馳せるのも乙な楽しみ方かも。 

 

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ウォッチメン』の元ネタのひとつとしても知られる『ドクターモローの島』のコミカライズ広告。同じく77年に映画版が公開されてます。


 

いかがだったでしょうか?

当時を知らぬからこそ、独特の魅力を感じてしまう70年代リーフについて紹介してみました。

 

昔のコミックのキャラクターやストーリーについての情報は結構見かけますが、当時のコミック誌そのものやリーフの媒体について知る機会はあまりないので、なかなか興味深い体験でした。

 

 

ところで、もしMARVEL版ゴジラ自体の内容やストーリーについて知りたい方がいれば、こちらのまとめを見てみることをおすすめします。

ゴジラは何度もアメコミ化されており、MARVEL以外のアメコミ版ゴジラも存在するのですが、それらについても言及されています。)

非常に面白いので、ぜひ読んでみて下さい。

 

 

 

 

ところで、MARVEL版ゴジラにはもう一つ気になる話題があるので、次回はそれを取り上げようかと思います。

どうか期待せず、お楽しみに。

*1:アメコミの刊行形態の最小単位で、日本でいう「週刊誌の1話分くらいのストーリー」が収められた薄っぺらい冊子だと思ってもらえればOK。

*2:作品としては『ザ・ダークネス』、『ウィッチブレイド』、『ファゾム』、『ヤングブラッド』…などなど。