ソウル・エデュケーション

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短文レビュー:『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(1968)ノスタルジー的な意味で楽しんだもの勝ち

一気にチープ&コミカルになった昭和ガメラシリーズの転換を象徴する一作。

 

 

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懐古短文レビューシリーズ、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(1968)です!

 

他のガメラシリーズはこちらから。

 


冒頭から流れる『ガメラマーチ』が、ガメラ新時代の到来を告げます。


主人公は子供、活躍するのも子供。
ガメラの「子供好き」という特徴があらためてフィーチャーされ、敵がそこをガメラの弱点として狙ってきます。

 

そして、子供に都合のいい優しい世界
主人公たちを誘拐した「地球侵略を企む宇宙人」が、『君たちは宇宙船の中を自由に動き回っていいよ』と言って好きに見物させてくれるのが癒やされます。

そんなにゆるくて大丈夫なのでしょうか。

 

そんなこんなで、主人公たちとガメラがともに戦う「少年探偵団」的なノリで、地球侵略に来た宇宙人を撃退します。

 

 

前作までと比べると、予算規模が縮小された感が丸わかりなのが悲しいところです。
大規模な都市破壊シーンもないし、ずっと海辺や宇宙船の中が舞台。


さらに、総集編パートまであります。

前作までのバルゴン戦やギャオス戦の映像を、ダイジェストでもなく延々そのまま使い回すので、体感時間の長いこと、長いこと。

さらに、本編の破壊シーンなども前作までのバンク映像が散見されます。

 

 

敵怪獣であるバイラスは、ガメラシリーズ中ではわりと珍しい知的生命体です。

着ぐるみ怪獣として挑戦的なデザインと、わかりやすく暴力的なギミックがいい感じです。

 

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『宇宙人達に囚われた異星生物』と思わせておいて、実は宇宙人のボスだったというのは面白いのですが、彼はなぜあんな檻の中にいたのでしょうか。そういう趣味?

 

 

最終決戦ではバイラス人たちが合体して巨大化、ガメラと決戦になります。


ロケット頭突きでガメラを串刺しにするシーンはインパクト大。
基本、ガメラの甲羅は破壊されるためにありますからねぇ。

 

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串刺しシーンはインパクト大。子供心に強烈に焼き付きます。

 

怪獣マニアが観るにはいいでしょうが、いかんせん本作以降の昭和ガメラはあまりにもチープで、現代の視点から見てまじめに評価しようという対象からは外れてしまった感があると感じます。

 

それよりは、ノスタルジーな目線から、子供を見守るような優しい目で「うん、うん」と頷き、お酒を飲みながら見たいタイプの映画ですねぇ。