スタートレック︰ディスカバリー シーズン1 10話『我の意志にあらず』レビュー
シーズン1の再開後最初のエピソードは、まさかの鏡像宇宙!
オールドファンにも新規ファンにも楽しい新展開!
スタートレック:ディスカバリー
Season 1 Episode 10
『我の意志にあらず』
原題:"Despite Yourself"
【本記事は視聴済みの方向けのレビューです。ネタバレを含みます!】
ついに再始動したスタートレック:ディスカバリーのシーズン1。
2か月待っていた我々の期待を裏切らない、抜群に面白いエピソードでした。
では、10話を振り返っていきましょう。
・まさかの鏡像宇宙!テラン帝国ふたたび。
9話の最後で、スタメッツの不調により未知の場所へとジャンプしてしまった、我らがディスカバリー。
いったい、どこに飛ばされてしまったのか?というのが10話へと続く最大の関心要素だったわけですが、結果はなんと鏡像宇宙でした!
じつは、私は前回の記事でこんなことを書いていたのです。
さて、ディスカバリーはヴォイジャーのように、単に遠方にジャンプしてきただけなのでしょうか?
タイムスリップや、マルチバースの他の宇宙に飛ばされた可能性もありますね。
シリーズ恒例の鏡像世界とかね。
…まさか、本当に鏡像宇宙とは。
今こそ高らかに言わせていただきます。『予想的中!』と。(ただの偶然)
鏡像宇宙はTOSの傑作エピソード『イオン嵐の恐怖』で初登場して以来、後のシリーズでも何度も登場している定番ネタです。
鏡像宇宙とは、いわゆるパラレルワールドのこと。
登場人物、宇宙船などは通常の宇宙とほぼ同一なのですが、文化が大きく異なります。
鏡像宇宙に惑星連邦は存在せず、代わりにテラン帝国という超暴力的・帝国主義的国家が存在しており、地球人類のたどってきた歴史が大きく異なります。
そのため、登場人物の多くがひどく残虐・陰湿な性格に変わっているのが特徴となります。
テラン帝国の士官たちは、自らの出世のために上司を謀殺したり、互いの部屋を盗聴・盗撮は当たり前。敵対種族は非武装でも一切の躊躇いなく焼き払います。
ふだん温厚だったり理知的な性格のキャラクターが鏡像世界では残虐な独裁者と化していたり、上官と部下・敵と味方などの立場が逆転していたりするのが面白いところで、演じる俳優さん達も普段と違うキャラクターを嬉々として演じているのが分かるので、視聴者も楽しいのです。
そして、キャラクターの衣装やメイクをちょっと変えるだけで、普段通りの船内セット撮影にも関わらずマルチバースを表現できるという、予算に優しい超クレバーなネタでもあります。
同じ名前の宇宙船が通常宇宙と鏡像宇宙に同時に存在することになるので混乱しそうなところですが、両者を呼び分ける方法があります。
通常の宇宙では惑星連邦の艦艇では船名の前に『USS』という記号がつきますが、これは『United Federation of Planets Star Ship』(連邦宇宙船)の頭文字をとったものです。
テラン帝国の船の場合はこれが『ISS』すなわち『Imperial Star Ship』(帝国宇宙船)ということになります。
我々の宇宙での『USSシェンジョウ』は鏡像宇宙版では『ISSシェンジョウ』となりますから、それぞれの艦を呼び分けて混乱を防ぐことができます。
鏡像世界についての基礎知識はこんなところでしょうか。
今後しばらくはディスカバリーが通常の宇宙に戻るために奮戦するというメインストーリーになりそうですね。
連邦本部に遮蔽装置への対抗策を伝えるため、急がねばなりません。
また、おそらくUSSディスカバリーと入れ替わりで通常の宇宙に来たであろう『ISSディスカバリー』が通常宇宙のほうで大暴れしている可能性もあり、無事戻れたとしても通常の宇宙で一波乱あるかもしれません。
まったく、目が離せない展開です。
・そして、またしてもUSSディファイアント
そして、肝心の通常宇宙に戻るためのカギとなる存在として、『USSディファイアント』の名が言及されました。
ファンには非常におなじみのこの『USSディファイアント(NCC-1764)』。
TOSの主役艦であるUSSエンタープライズ(NCC-1701)と同型のコンスティテューション級宇宙船です。
TOSで初登場して以来、ENTなどでも何度も登場し、毎回ややこしい騒ぎの原因となります。
ややこしすぎて、ここで言及すると長くなるので詳しく知りたい方はメモリーアルファを見ましょう!
立体映像で艦の形状が出てきましたが、なにげにオリジナル版の形状から結構なアレンジがされているようですね。
従来のデザインに比べてドーサルネックが短く、上から押しつぶされたような感じ。
ワープナセルのパイロンも途中で折れ曲がったような形になっていますね。
・悪魔船長ティリー、反逆者ロルカ、カリスマ船長バーナム
鏡像世界につきものの、キャラクターのギャップが楽しいコメディ要素。
とくにティリーが船長というだけでなく、大仰な異名までついているというのがおかしいですね。
反逆者ルックのロルカ、テラン帝国にいてもまったく違和感のないマイケルはとても格好いい。
鏡像世界のテラン帝国軍の制服は無駄に金色なのが特徴です。
TOSでの衣装もご覧の通りです。(それにしても、スポックのヒゲがいつ見ても最高)
10話の監督を務めたのがウィル・ライカーことジョナサン・フレイクスだったからか、従来シリーズに近いユーモア感覚があった気がします。
・アッシュの正体は確定か。しかし、どんな展開になってしまうのか。
ルレルの設定した合言葉により記憶を取り戻すという描写がありましたので、アッシュ=ヴォクはほぼ確定としてよいでしょう。
しかし、彼の人格は連邦士官としてのものが根付いてしまっており、彼自身がPTSDと自分のアイデンティティ崩壊で苦しむことになるという。
しかし、医療スキャンでもバレないとは、内臓レベルまで整形手術をしたということでしょうか。
たしかにクリンゴンは主要臓器が2個ずつあって、片方が損傷しても大丈夫という設定はありましたが…。
そしてなんと、カルバーを殺害してしまうという後戻りできない事案も。
さらなる悲劇の予感しかしませんね。
オールドファンには従来シリーズとのリンクが増えて楽しめるし、新規ファンの方にもスタートレックらしいユーモアが垣間見える良エピソードだったのではないでしょうか。
次の配信もまもなくですが、とても楽しみですね。
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