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スタートレック︰ディスカバリー シーズン1 7話『正気を狂気に変えるマジック』レビュー

シリーズ定番のタイムループネタ。
しかし、怒涛のスピード展開がディスカバリーならでは!

 

  

 

スタートレックディスカバリー

Season 1 Episode 7

正気を狂気に変えるマジック

原題:"Magic to Make the Sanest Man Go Mad"

 

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不幸まみれのマイケルの人生にも春が来るか?


【本記事は視聴済みの方向けのレビューです。ネタバレを含みます!】

 

※前回まで「前半ネタバレなし」としてやってきましたが、本ブログの方向性的に無意味な配慮と判断しました。

 

 

スタートレックシリーズでは、過去に数えきれないほどの“時間ネタ”が多用されてきました。

 

元祖シリーズであるTOSからして何度もタイムスリップネタをやっていましたし、劇場版でも20世紀や21世紀へのタイムトラベルが主題となった作品がありました。

 

とりわけ『時間規則おかまいなし』で有名なVOYにおいては、『同じ船の中に複数の時間軸が同時に存在している』などという凝った設定の回までありました。

※余談ですが、そのエピソード VOY『対決する時空』はじつに面白かった。私のお気に入り回です。

 

で、今回のディスカバリーイムループ回だった訳ですが、スタートレック的には定番の時間ネタが来た!という感じでしたね。

 

『主人公がタイムループにとらわれ、何度も失敗を繰り返しながら経験を蓄積し、悲劇的な結末を変えようとする』というタイプの話は近年の映画やアニメで何度も見られた流行のネタとも言えますが、スタートレック的にはTNG『恐怖の宇宙時間連続体』が思い出されますね。

 

 

 

ただ、ネタが既出だからといって、一味違うのがディスカバリー

意外性と緊張感、スピード感あふれる展開で文句なく楽しめたエピソードでした。

 

従来のスタートレックであれば、タイムループが起こったことが判った時点で、その不思議をもっとじっくりと演出するところです。

対して今回のディスカバリーではタイムループが判明しても立ち止まることなく、次から次へと新しいネタを突っ込み、スピーディに展開していきます。

 

さらに、タイムループ要素は実は面白ギミックでしかなく、その要素を取り除いてみれば、今回の話の筋はアッシュとマイケルの恋愛関係だったということが判ります。

 

マイケルが自分の中の感情に気付き、自分を犠牲にしてアッシュの死を取り消すという大胆な賭けに出る展開は、その点で実に綺麗だったと言えましょう。

 

いいものを見させてもらいました。満足です。

 

 

 

以下、個別の感想点。

 

 

 

クリンゴンとの戦争には『勝っている』らしい。

 

それは『唯一の活性胞子ドライブ搭載艦であるところのディスカバリーが神出鬼没の活躍をしているから』というわけですが、実際にディスカバリーが胞子ドライブによる急襲を行ったのは4話だけだったので、実感はあまり湧きませんね。

 

戦争といえば、今回スタートレックでは珍しい星図による戦線の表現が出てきました。いかにも戦争っぽいですね。

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スタートレックには珍しい、星図による戦線の表現

3話くらいまで感じられていた、クリンゴンとの戦争がディスカバリーのストーリーの核になりそうだった感じはここ数回、鳴りを潜めています。

 

今回のようにスタートレックらしい単発エピソードは大歓迎なのですが、クリンゴンの内情の話など「お預け」になっている要素が多くて『それはいいんだけど、あの件とあの件はどうなった?』みたいな感じ。

 

実権を握ったはずのコル、シェンジョウの残骸に追放されて復讐を狙うヴォクらの、クリンゴンの政治劇の続きが気になります。

 

 

・というか、クリンゴンに捕まったコーンウェル提督はどうなったんでしょうか?

 

ロルカ船長が拉致された時は最優先的な救出命令が出ていたのに、今回は提督のことに触れる人すらいなくてビックリしました。

コーンウェル提督、そんなに皆から嫌われてたんでしょうか?

 

 

 

スタメッツが愉快すぎる件。

初登場時がウソのようなフレンドリーさ。

ドクターとイチャつきながら、マイケルに恋のアドバイスをしてくる。視聴者からの好感度がうなぎ登りでしょう。

 

しかも今回は、クマムシ遺伝子によって時間の流れの影響を受けないという特性を発揮して大活躍。

1人だけ事態の全容を把握しており、ループ前の記憶を次に持ち越すことができるがゆえ、その奔走っぷりも素晴らしかった。

 

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愉快すぎてマスコット的役割になりつつある(気がする)スタメッツ



  

・スタメッツといえば、今回明確にクマムシがいなくなってからは、スタメッツがクマムシの代わりを務めることでジャンプを可能にしている』ことが判りましたね。

 

クマムシの場合はジャンプで大きなストレスを受けて休眠状態になっていましたが、スタメッツへの負荷は大丈夫なんでしょうか?

あの腕の機械で緩和されているのか?

 

 

 

・パーティーの音楽に21世紀のヒット曲が多く使われていましたが、何故なんでしょうね?

『ビヨンド』では、ビースティボーイズやパブリックエネミーの曲が『クラシック』と言われていましたが、今回のパーティ音楽もクルー達の世代的にはだいたい同じ認識でしょう。

 

こういう所で「我々のいる世界とスタートレックの世界が繋がっている」ことを実感させる演出は嫌いではないのですが、はたして23世紀の人間が、わざわざ何百年も前の音楽をパーティに採択するでしょうか。

そこは、宇宙時代ならではの音楽や風俗を、想像力をもって見せてほしいものです。 

 

 

・アッシュはどれだけカッコいいのか。

今のところ、こんなに欠点らしい欠点のないキャラクターも珍しいですね。おとぎ話の王子様みたいな人だ。

反逆者のレッテルを貼られているマイケルにも偏見なく接して好意を持たれるなど、人間ができすぎていて逆に何か後ろ暗い秘密があるのではないかと勘繰ってしまいます。

 

 

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カッコよくて頼りになる王子様のようなアッシュ大尉



 

ハリー・マッドが凶悪な件。

 

TOS時代の印象だと、マッドは「やっていることは大胆だが、性根は小悪党」という感じのキャラクターでした。

やっていることもペテン師の範疇であって、直接人を殺したり傷つけるようなことはしていませんでした。

少なくとも、マッドという男は(ループで帳消しになるとはいえ)大量に人を殺すようなことも厭わない人間には思えませんでしたね。

 

だからこそ今までは、最後に奥さんに叱られて『後生だよう!』みたいなコメディオチで済まされていたのですが、今回の彼はあまりにも凶暴かつ大胆でした。

 

実際マイケルの機転がなければ、アッシュやロルカを殺したままの状態で時間が固定されるはずでしたからね。

 

ディスカバリーの 彼はTOSの鴇より若いので、我々の知っていた『憎めない小悪党のハリー』は、昔は過激な犯罪者だった男が年をとって落ち着いた姿ということだったんでしょうかね?

 

今回はマッドのしでかしたことが計画的で残虐、場合によっては連邦全体の命運を左右する事態だったこともあって、『奥さんに引き渡して終わり』の結末はちょっとスッキリするものではありませんでした。

そういうコメディオチにするにしては、今回の彼は「やりすぎ」です。

 

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奥さんに引き渡して終わり、でよかったのだろうか??



 

・あと、ハリーの前科として『ベタゾイドの銀行を襲った』という話が出てきましたね。

 

確かベタゾイドTNGが初出だよね?と思って少し調べてみたところ、

ベータゼッドが連邦に加盟したのは2273年だそうです。

これはTMPの事件があった年。つまりヴィジャーが来訪した年です。

 

ディスカバリーの時代はそれより20年くらい前でしょうから、連邦加盟の少し前から地球とベータゼッドとの交流はあったということで納得できます。

そうなると地球人類とベタゾイドのファーストコンタクト時期が気になるところですが、英語版メモリーアルファでも載っていなかったので、今のところ想像で補うしかないですね。

 

 

 さて、『スタートレックらしい展開』になって面白いのはいいけど、初期に示したディスカバリーならではの要素』がしばらく放置状態になっているので、次回あたりそろそろ再始動するのではないでしょうか?

誰にも見向きされないコーンウェル提督の命運やいかに? 

 

公開されている予告篇では、初の上陸任務があるようですね。

次回を楽しみに待ちましょう。 

 

 

 

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