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スタートレック︰ディスカバリー シーズン1 5話『苦痛を選べ』レビュー

動物虐待反対!瞬間移動できる宇宙クマムシをめぐる群像劇
そして男たちのプライドや葛藤が見えたドラマ回

 

 

※前半はネタバレなしでお届けします

 

 

 

スタートレックディスカバリー

Episode 5

『苦痛を選べ』

原題:"Choose Your Pain"

 

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人間ドラマをメインに据えたエピソードがようやく登場!




前回の胞子ドライブの実用成功により、対クリンゴン戦争で神出鬼没の活躍をしていた(らしい)ディスカバリー
クリンゴン側にも大きな脅威とみなされている様子。

そりゃ、現実に『瞬時にどこにでも現れる戦艦』なんてものがあったら、相手にとっては堪ったものではありませんものね。

 


そんな背景の中、今回は各キャラクターの掘り下げが行われました。

今までのディスカバリーのクルー達はそもそも仲がよくないし、表面的なことしか人物が見えておらず、人柄がほとんど判りませんでした。
ダークな作風も手伝って、『この人、じつは腹に一物あるのでは…』などと勘繰ってしまう感じがありました。


しかし今回はディスカバリーのメインクルー達に焦点をあてており、初めて人間ドラマ的な魅力が前面に押し出されたエピソードだったのではないでしょうか。

 

とくに男性クルー達の人柄、プライド、葛藤といったものがようやく見えてきて、その点では非常にスタートレックらしさが見えてきた気がしました。

 

 

  • 過去の行いに対する自らへの戒めと、強い責任感を示したロルカ船長
  • 指揮官の大役を担い、己自身と対峙してバーナムへの感情を認めたサルー副長
  • 自ら生み出した技術に対して学者としてのけじめをつけるスタメッツ大尉
  • 医師として、人間としての医者らしい思いやりを見せたドクター・カルバー


今回で、本作の魅力に表面的な面白さだけでない、厚みのようなものが加わり始めたと思います。

 


そして、ラストに関しては非常にスタートレック的な余韻を生み出しつつありました。

回を重ねるごとに『なんでこれがスタートレック?』という感覚はどんどん薄れてきています。

制作サイドはそういうことも計算づくでやっているのでしょうが、じつに期待や不安を良い方向に裏切ってくれるものです。
なんだか、見ていて気持ちがいいですね!

 

 

 

以下、個別の感想点をば。

【※ネタバレあり!】

 

 

 

・私のサルーへの感情移入がすごい件。

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メインクルーの中の「人外」ポジションにはいるが、今までとは一線を画したキャラでは


サルーがバーナムの優秀さを認めているのは以前から分かっていましたが、旧シェンジョウのクルー同士でありながら、一番溝をつくっていた彼。
『君がジョージャウ船長を殺した』とまで言っていましたからね。


バーナムに対する態度の理由が嫉妬だということは、彼自身が誰より判っていたはず。

 

『バーナムがいなければ、もっと早くたどり着けた』と思っていただろう船長の椅子ですが、
いざロルカ船長が不在になって自分が指揮をとらねばならない時、動揺しプレッシャーに押しつぶされそうになってしまう、もろい自分。

 

その自分を受け入れて、バーナムへ謝罪し和解する彼の思いは如何ばかりだったでしょうか。

 

前情報では彼は『スポックやデータに相当するキャラ』と言われていましたが、サルーは彼らと違い、自分のアイデンティティに対するコンプレックスは持っていません。

スポックやデータは『自分の中の人間的な部分を認めたくない』もしくは『人間に近付きたい』といった視点から、人間というものを克明に浮かび上がらせることができるキャラクターでした。


対してサルーは、見た目があからさまに異星人だというだけで、彼自身はものすごく人間らしい

しいて言えば、ドクターフロックス二―リックスに近い立ち位置で、ドラマ担当になっていくのかもしれませんね。

 

 

ロルカ船長が拉致された!

クリンゴン艦の監獄にぶち込まれたが、そこにいたのは怪しい男…って、誰かと思えばハリー・マッドじゃないか!

 

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他シリーズのキャラが登場するのは初めてでは?

相変わらずの小悪党ぶりでしたが、クリンゴン船の牢獄にひとり残され、あの状況から生還してエンタープライズと出会っているのだから大したものです。

 

 

 

・他シリーズのキャラといえば前回、クリンゴンのコルはダハ―ルマスターのコール同一人物なのか?』と書きましたが、英語版サイトを見ると、どうやら違いますね。

("kol"と"kor"の違い)

 

エイリアンキャラの名前の、日本語への音写のしにくさはいかんともしがたいですねー。

他にも似たような例は山ほどあるはず。

 

 

・新キャラクター アッシュ・タイラー大尉登場。

なんだ、このイケメンは…。しかも、イケメンすぎたおかげでクリンゴンの捕虜になっても生き延びるとは。

ハンサム力(ちから)、恐るべし。

 

 

 

クリンゴンの拷問はカーデシアっぽい。

『ライトはいくつだ!?』って感じでしたね。

 

 

 

便利なクマムシを酷使したら無敵の休眠状態になってしまった件。

 

これについては、形態はどうあれ『生命体を監禁して艦船の機能に利用する』なんて、連邦の士官としては信じられない所業ですよね。

ボーグみたいな発想…と言ったら言い過ぎか。


途中クマムシは知覚生物かもしれない』という話が出てきてましたが、これは知覚生物かどうか以前の問題です。

仮にクマムシがもっと原始的な非知覚生物であったとしても、あり得ない。

(『クジラには知覚があるから食べてはいけない』みたいな主張。)

 

艦内の皆(候補生のティリーですら)がクマムシのことを知っているにも関わらず、当たり前のように胞子ドライブを使い続けており、バーナムの主張が異端視されるとは、ちょっとスタートレックとしては受け入れがたい。

 

 

 

同種の話として、VOY 『異空生命体を呼ぶ者達』を思い出します。

このエピソードの中で、連邦艦USSイクワノックスは異星人によって遥か銀河の反対側まで飛ばされ、孤立無援で地球への帰還を目指しますが、実際に帰還するための旅路は困難を極めていました。

 

長く厳しい旅の中、とある星で出会った生物を殺して遺骸を利用すれば、ものすごいスピードでワープできることが判った為、イクワノックスのクルー達はこの生物を殺しながら地球へ帰還していた…という話でした。

 

イクワノックスのクルーがした所業を、同じ状況で孤立無援の旅をしていたUSSヴォイジャーのジェインウェイ艦長は宇宙艦隊の倫理に反する』として激しく糾弾しました。これこそが正常な反応でしょう。

 

まして、ディスカバリーはイクワノックスのような特殊なシチュエーションに陥り、宇宙艦隊の目の届かぬ所で、生存のために余儀なくされてクマムシを利用した訳ではありません。

 

異星生物にこれほど無頓着な艦隊士官には、違和感しか感じません

 

 

 

・そしてスタメッツ大尉!
今回もっとも株を上げた男ではあるまいか。

 

初登場時こそ、ちょっと嫌な感じの登場ではありましたが、自分の研究や菌類に対して限りない愛情と情熱をもっている学者肌の人物ということが判りましたね。

 

ビジュアルも、金髪に青白い肌、黒っぽい存在感のある瞳というのが印象的ですよね。

 

危険を冒しても自らにクマムシの因子を投与するその姿勢。目覚めた時、まっ先に『成功ですか?』と結果を気にかけるひたむきさ。

視聴者の好感度超アップです!

 

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いろんな意味で男を上げたスタメッツア大尉とパートナーのカルバー

 

そして、ドクターとの恋人関係が明らかになりましたが、ここは違和感まったくありませんね。

 

最初にドクターがバーナムとともにスタメッツ大尉のもとへ乗り込んで、クマムシの衰弱について苦言を呈した時、スタメッツのとった『わざとらしい冷たい態度』は十分親しい関係性を示していて、いい演技でした。

そしてラストで任務を離れて二人きりの時には互いを気遣う感じ、優しいです。

 

 

・SFに登場するクリーチャーや特殊メイクを愛する者としては、ディスカバリーのブリッジクルーの中にユニークなビジュアルの持ち主が多いので、非常に気になっています。

 

今回、サルーが指揮をとったことによって数名の名前が明らかになりました。

海外サイトには名前も含めて紹介しているサイトがあったので、内容を拝借して紹介いたしましょう。

 

 

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エアリアム少佐
Lt.Commander Airiam
胞子ドライブ担当

 

 

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ケイラ・デトマー大尉
Lieutenant Keyla Detmer
操舵手

 

 

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オスヌラス(階級不明)
Osnullus

Lieutenant Joann Owosekun

 

 

エアリアム少佐はミステリアスでいいですね。

実写版エイトマンみたいな見た目ですが、カッコいいです。

彼女は機械っぽい見た目をしてじますが、アンドロイドではないのでしょう。宇宙艦隊的にはデータが初のアンドロイド士官だったと記憶しているので。

できれば設定が明らかになっていくといいですね。

 

デトマー大尉も非常にルックスがいい感じです。

もともと女優さん自体の顔立ちも個性的ですが、その髪型とボーグインプラントみたいなサイバネティクスから、印象は強烈です。

 

あと、1話と2話で出てきたシェンジョウのクルーにも見た目が個性的な人がいましたが、その名前も判明しました。

 

 

 

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Lieutenant Jira Narwani



このヘルメットは『helmet that assists with tactical』と紹介されていたのですが、ダフトパンクのギ=マニュエルっぽくて格好いいですね。

 

 

シェンジョウにはあからさまにLOBOTっぽい人もいましたし、地球人でもサイボーグが珍しくない世界観なのかも?

普通の人間でないクルーが多いと、TASを思い出しますね。

 

 

 

次回からクマムシなしのディスカバリーがどうなっていくのか、必見です。

来週もまた楽しみに鑑賞しますね。

 

 

 

 

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